ダイズリゾクトニア根腐病菌(AG-2-2)とイネ褐色紋枯病菌とは同一である


[要約]
ダイズリゾクトニア根腐病菌(菌糸融合群:AG-2-2)とイネ褐色紋枯病菌とは、交互接種でイネとダイズに病原性があり、かつ同様の病徴を呈することから、両菌は同一である。

[キーワード]ダイズ、ダイズリゾクトニア根腐病菌、イネ、イネ褐色紋枯病菌、病原性

[担当]富山農技セ・農業試験場・病理昆虫課
[代表連絡先]電話:076-429-5249
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
  水田転作の基幹作物であるダイズの初期立枯性病害として、富山県では近年、茎疫病のほかに、新たにリゾクトニア属菌の菌糸融合群AG-2-2による根腐病の発生被害が増加しており、防除対策が早急に求められている。一方、AG-2-2にはイネ褐色紋枯病菌があるが、ダイズリゾクトニア根腐病菌との関係は不明である。そこで、ダイズリゾクトニア根腐病菌(AG-2-2)とイネ褐色紋枯病菌の病原性を調査し、両者の関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. ダイズリゾクトニア根腐病菌(AG-2-2)は、接種でイネ株元の葉鞘に暗褐色不正形病斑を生じる。この病徴は、イネ褐色紋枯病菌の接種により生じる病徴と同じである(図1-a、表1)。
2. イネ褐色紋枯病菌は、接種でダイズに出芽不良や生育不良および著しい根腐症状を呈する。この病徴は、ダイズリゾクトニア根腐病菌(AG-2-2)の接種により生じる病徴と同じである(図1-b、表2)。
3. 以上のことから、両菌は同一である。

[成果の活用面・留意点]
1. 富山県のダイズで発生しているリゾクトニア根腐病の病原菌は、菌糸融合群AG-2-2が多いことから、前作のイネ褐色紋枯病の発生動向に留意する。


[具体的データ]

図1 ダイズリゾクトニア根腐病菌(AG-2-2)とイネ褐色紋枯病菌の交互接種によるイネとダイズの病徴
表1 ダイズリゾクトニア根腐病菌(AG-2-2)の接種によるイネの発病
表2 イネ褐色紋枯病菌の接種によるダイズの発病

[その他]
研究課題名:水田転換畑等におけるダイズの生産性と品質の高位安定生産システムの開発
予算区分:加工業務用2系
研究期間:2006年度
研究担当者:向畠博行、関原順子、坂田清華

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