卵用鶏雛へのカニ殻の給与は成長を促進し、抗酸化機能を強化する


[要約]
卵用鶏雛の飼料にカニ殻を添加することにより、日増体量(DG)が高まり、浅胸筋重量比がカニ殻添加区は高い値を示す。また、抗酸化の指標となる血漿中チオバルビシール酸反応物質(TBARS)濃度は、カニ殻3%添加により、対照区と比べ低い値を示す。

[キーワード]カニ殻、卵用鶏、雛、抗酸化

[担当]福井畜試・家畜研究部・中小家畜研究グループ
[代表連絡先]電話:0776-81-3130
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
民宿や旅館から大量に廃棄されているカニ殻は、抗酸化作用のある色素成分であるアスタキサンチンなどを含み、免疫強化が期待されている。
  未利用資源であるカニ殻を、卵用鶏雛のへ給与飼料に添加することで、発育や生体機能に及ぼす効果について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 卵用鶏「ジュリアライト」の雄雛24羽(2羽×4反復/区)を用い、トウモロコシ主体(60%)自家配合飼料給与する対照区、カニ殻(福井県内の民宿から回収したカニ殻を自然乾燥、1mmメッシュで粉砕)1.5%、3%添加区を試験区として、1週齢〜4週齢の3週間給与する。
2. トウモロコシ主体自家配合飼料にカニ殻を添加すると、添加割合が高まるにつれ、粗蛋白質(CP)、代謝エネルギー(ME)、カルシウム(Ca)、リン(P)ともに増加する(表1表2)。
3. カニ殻添加により、飼料摂取量・日増体量(DG)が高くなり、浅胸筋重量比においては、カニ殻添加区は対照区と比べ高い値を示し、肝臓重量比は低い値を示す(表3)。
4. 血漿中トリグリセリド(TG)濃度は、カニ殻添加により、対照区と比べ低くなる(図1)。
5. 脂質酸化の指標である血漿中チオバルビツール酸反応物質(TBARS)濃度は、カニ殻3%添加により、対照区と比べ低い値を示す(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. カニ殻は、卵用鶏雛の成長を促進する。
2. カニ殻を卵用鶏の飼料に添加することにより、抗酸化機能の強化が期待できる。

[具体的データ]
表1 カニ殻の成分含量(単位:原物あたり)
表2 供試飼料の成分含量および栄養価(単位:原物あたり)
表3 解体成績
図1 血漿中トリグリセリド濃度 図2 血漿中チオバルビツール酸反応物質濃度 

(舟塚絹代)

[その他]
研究課題名:越前がに等県産素材を活用して健康によい鶏卵生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2010〜2011年度
研究担当者:舟塚絹代、伊達 毅、阿部啓之(畜産草地研)、矢ケ部陽子(畜産草地研)、大津晴彦(畜産草地研)

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