長期貯蔵したニホンナシ「にっこり」の出庫後の鮮度保持技術


[要約]
0℃で100日程度長期貯蔵した「にっこり」を船便(4℃)で輸出する場合は、輸出先において高温遭遇時間を6時間以内に抑え10℃以下の条件で販売することで、7日間品質の低下を抑制できる。

[キーワード]ニホンナシ、貯蔵、鮮度保持、輸出

[担当]栃木農試・園芸技術部・果樹研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7143
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
栃木県では、平成16年度から「にっこり」の輸出に取り組み、平成19年には香港、タイ、シンガポール等へ8.3tが輸出されるなど、販路拡大が進んでいる。そこで、輸出先で果物の需要が多い春節における販売拡大を目指して、産地において0℃で100日程度長期貯蔵した「にっこり」の輸出先での鮮度保持技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 長期貯蔵(0℃、湿度90%以上で100日間)後、4℃7日間(船便)経過した果実の輸出先での販売を想定し、出庫後の保管温度の影響を調査した(図1)。商品性を損なうす入り程度2以上の発生は、10℃保管区で出庫後7日まで認められないが、13℃保管区では出庫後7日で認められる(表1)。不良食味果の発生は、10℃および13℃保管区とも出庫後7日まで認められない。これらのことから、店頭での販売では、10℃以下の条件で7日間は商品性が保たれると推定される。
2. 気温が高い地域への輸出を想定して、長期貯蔵後の短時間の高温(30℃)遭遇の影響を調査した。商品性を損なう褐変を伴う水浸状果肉障害程度2以上の発生は、3時間処理で21日後まで、6時間処理では出庫直後に若干の発生があったものの14日後までほぼ発生は認められない。一方、12時間処理では出庫直後から多発する。食味不良果の発生は、高温処理3時間および6時間処理区において出庫後14日まで抑制されるが、12時間処理区では出庫後14日には全て食味不良果となる(表2)。これらのことから、輸送過程における高温遭遇時間は6時間を超えないように注意する必要がある。

[成果の活用面・留意点]
1. 現地での実証試験において、店頭での10℃の陳列棚で7日間以上の日持ち性を確認している。

[具体的データ]

(三坂 猛)

[その他]
研究課題名:高品質果実の輸出に向けた鮮度保持技術の開発
予算区分:農水省輸出プロ
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:高橋 建夫*、金原 啓一** (*現那須農業振興事務所 **現経営技術課)

目次へ戻る