ヒートポンプと重油温風暖房機のハイブリッドシステムで冷暖房経費が削減できる。


[要約]
ヒートポンプと重油温風暖房機を組み合わせて使用するハイブリッドシステムで、最低夜温18℃でバラを栽培した場合、A重油価格46円以上で年間冷暖房経費(ランニングコスト)の削減が可能である。

[キーワード]バラ、ヒートポンプ、夜間冷房、暖房、省エネ

[担当]静岡農林研・花き科、野菜科
[代表連絡先]電話:0538-36-1555
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
バラ栽培では、暖房費が高騰して経営を圧迫しており、暖房費削減対策としてヒートポンプの導入が進んでいる。ヒートポンプを導入し、冬期の暖房費削減と、夏季の夜間冷房を行った場合の、年間の経費を試算する。

[成果の内容・特徴]
1. ヒートポンプと重油式温風暖房機のハイブリッドシステムの冷暖房費を、2009年5月〜2010年4月の間の実測値に基づいて、年間の冷暖房費を試算した。設定条件は、バラ栽培温室10a(表1)に、19.2Hpのヒートポンプを導入した条件で、対照温室の冬期の暖房温度は、ハイブリッドシステムと同一になるように設定し比較した。
2. A重油価格70円/Lで暖房および夏季夜間冷房にハイブリッドシステムを使用した場合、慣行の重油式暖房と比較して、暖房費が37万6千円(18%)削減できる。
3. 電気料金を固定し、A重油単価を変動させた場合、暖房および夏季の夜間冷房に使用した場合はA重油単価が46円以上、暖房のみに使用する場合はA重油単価が40円以上で、年間の暖房費ランニングコストは削減できる(図1)。
4. 250万円でヒートポンプハイブリッドシステムを導入した場合の償却年数は、A重油価格が70円/Lでは、冷暖房費のみの削減費では5.3年で償却が可能となる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 静岡県磐田市で、暖房時最低夜温18℃で設定した場合の試算である。
2. 電気料金は、中部電力の低圧季節別時間帯別電力料金の2010年の料金(昼間:夏季12.95円/kWh、夏季以外11.77円/kWh,夜間:9.33円/kWh)で固定して試算した。

[具体的データ]
図1 重油価格変動によるハイブリッドシステムの冷暖房費削減率の変化
図2 ハイブリッドシステムによるバラ栽培で重油価格が変動した場合のヒートポンプ償却年数

(佐藤展之)

[その他]
研究課題名:施設園芸における高度環境制御による高生産システムの確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年
研究担当者:佐藤展之、本間義之、守谷栄樹(中部電力梶j、安井清登(三菱重工空調システム梶j、野々下知泰(ネポン梶j

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