ニラの抽苔が軽減する周年栽培体系の確立


[要約]
ニラの夏期抽苔時期は、冬期の保温開始が早いと遅く、保温開始が遅いと早くなる。10月下旬の早期保温開始と1月下旬の晩期保温開始の作型を組み合わせ、品種を選定して作付けすれば、夏期収穫時の抽苔を軽減できる周年栽培体系が可能である。

[キーワード]抽苔軽減、ニラ、周年栽培、保温開始時期、品種

[担当]栃木農試・園芸技術部・野菜研究室
[代表連絡先]電話:028-665-7142
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ニラ栽培では、夏期の抽苔が夏ニラの収量と品質を低下させ、また、花茎除去等の調整作業労力が増加するため、周年栽培上の大きな障害となっている。そこで、ニラの周年栽培の安定を図るため、夏期収穫時の抽苔を軽減させる栽培体系を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. ニラの抽苔時期は、冬期の保温開始時期との関連が強く、保温開始が早いと抽苔は遅く、保温開始が遅いと早くなる。また、品種により出蕾時期や出蕾株率が大きく異なる(表1)。
2. 早期保温の作型1(収穫時期:11〜1月、5〜7月)、晩期保温の作型2(収穫時期:2〜4月、8〜10月)を組み合わせた周年生産体系(図1)において、作型1では、「スーパーグリーンベルト」、「ワンダーグリーンベルト」、「リッチ」および「タフボーイ」のいずれか、作型2では、「パワフルグリーンベルト」を用いることによって、収穫時に抽苔の問題が無い周年栽培が可能である(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. ニラの抽苔は、気象条件(冬期、花芽分化時の温度)が影響し、年次変動が予想される。
2. 作型2において、「パワフルグリーンベルト」は休眠が深く、低温時の収量がやや低下するため、冬期の気象によっては、1月のすて刈り時期をやや遅らせ、作型を微調整するとよい。

[具体的データ]
表1 保温開始時期および品種が出蕾株率に及ぼす影響
図1 抽苔軽減栽培体系
表2 抽苔軽減栽培体系の夏期の抽苔茎数

(齋藤容徳)

[その他]
研究課題名:ニラの高品質多収性産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:齋藤容徳、根岸直人、半田有宏

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