米の品種と米粉パンの形状、膨らみとの関係


[要約]
米粉パンの形状及び比容積は、米粉のアミロース含量に大きく影響される。アミロース含量が16〜25%程度の米を用いることで、品質に優れた米粉パンが製造できる。

[キーワード]米粉パン、比容積、アミロース

[担当]新潟農総研・食研セ・穀類食品科
[代表連絡先]電話:0256-52-3238
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
米は現在の日本で唯一自給可能な穀物資源であるが、国民1人当たりの米消費量は減少の一途をたどっている。米の需要増加に結びつく用途開発の1つとして、微細米粉および米粉パンの製造法が数多く開発されてきているが、米の品種成分と米粉パン品質の関係は明らかでない部分が多い。そこで、米の成分特性と米粉パン品質との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 米粉パンの膨らみの程度(比容積)は米粉のアミロース含量に大きく影響され、アミロース含量が15%以上で望ましいパン比容積値(概ね3.5以上)となる(表1図1)。
2. アミロース含量が16〜25%程度の米を用いることで、品質に優れた米粉パンが製造できる。アミロース含量が15%以下の米を用いた場合、米粉パンは柔らかいがケービング(パン側面の凹み)が起こりやすく、アミロース含量が25%以上の米では、米粉パンの形状は優れるがパンが硬くなりやすい特性を有する(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 米粉および米粉パン製造時における原料米選定等の資料として利用できる。
2. 米粉のアミロース含量はヨード呈色法(Juliano,B.O.,Cereal Sci.Today,12,334-360 (1971))等により測定する他、品種情報等のアミロース含量値も参考となる。
3. 本結果は収穫後1年以内の米を酵素処理・気流粉砕法(特許第3076552号、詳細は発表論文を参照)により同一条件で製造した米粉を用いた場合のものであり、米の貯蔵や製粉方法、酵素処理等の条件により変動する可能性がある。なお当該特許の実施は新潟県の許諾が必要である。
4. 製パン結果は米粉85:活性グルテン15(重量比)のミックス粉を用い、同一原料配合、加水は同一生地粘度(ファリノグラフ500BUを示した吸水量)、同一製造条件(100%中種法、詳細は発表論文を参照)で行ったものであり、原料の違いや配合割合、製パン方法や製造条件等により変動することに留意する。

[具体的データ]
表1 産年別米品種・系統のアミロース含量及びパン特性
 表1 産年別米品種・系統のアミロース含量及びパン特性 図2 産年別の米品種・系統と米粉パン形状

(新潟県農業総合研究所)

[その他]
研究課題名:米粉の加工適性評価技術の確立と育成品種のパン・菓子類への利用
予算区分:委託プロ(加工プロ4系)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:高橋誠、本間紀之、諸橋敬子、中村幸一
発表論文等:高橋ら(2009)食科工、56(7):394-402

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