水稲「ゆめまつり」の奨励(認定)品種採用


[要約]
「ゆめまつり」は、「あさひの夢」よりやや遅い熟期であるが収量、外観品質が安定して良好であり、病害虫複合抵抗性品種であることから奨励(認定)品種に採用する。

[キーワード]イネ、ゆめまつり、病害虫複合抵抗性

[担当]群馬農技セ・環境作物部・普通作物第一係、東部地域研究センター
[代表連絡先]電話:0276-72-0355
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
現在、群馬県平坦地域では「あさひの夢」が広く普及されており、2009年度の作付面積は5,570haである。特に、群馬県東部に位置する邑楽館林地域では「あさひの夢」は作付面積の70%を占めている。このように寡占化が進むことにより、葉いもちやツマグロヨコバイの被害が発生し問題となることから、気象災害や病害虫被害の危険分散を図るため新たな品種の導入が求められている。
  そこで、収量、外観品質が安定しており、病害虫複合抵抗性を有する「ゆめまつり」を採用し、群馬県東部を中心とした平坦地域の高品質安定生産に寄与することをねらいとする。

[成果の内容・特徴]
「ゆめまつり」は「あさひの夢」と比較して次の特徴がある。
1. 出穂期は早期では3日遅く、早植および普通期では同程度である(表1)。
2. 成熟期は早期では3日遅く、早植および普通期では2日程度遅い(表1)。
3. 収量は同程度の多収である(表1)。
4. 外観品質は同程度で優れる(表1)。
5. 食味官能試験は同程度から優れる傾向にある(表1)。
6. 晩植における成熟期は同程度で、収量は多収である(表1)。
7. 前橋市、館林市および明和町の現地試験においても生育、収量ともに同様な結果である(表3)。
8. 育成地における検定では、耐虫性としてツマグロヨコバイ、セジロウンカ、耐病性として穂いもち、縞葉枯病の複合抵抗性を有する(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 標高100m以下の平坦地域に普及する。
2. 中苗の移植は、安定的な収量を得るため6月25日までを目安とする。
3. 病害虫複合抵抗性品種であるが発生予察情報に留意して適切な防除に努める。

[具体的データ]
表1 前橋研究拠点における奨励品種決定調査成績
表2 東部地域研究センターにおける奨励品種決定調査成績
表3 現地試験調査成績
表4 育成地(愛知県)における特性概要

(廣岡政義)

[その他]
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2002〜2010年度
研究担当者:廣岡政義、菅谷隆幸、山本光一、大澤実、高橋利和

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