茶葉及び茶園土壌中のアルミニウムの簡易蛍光定量法


[要約]

 2,2'−ジヒドロキシアゾベンゼン(DHAB)を発色試薬に用いる、アルミニウム(III)のppbレベルでの目視あるいはデンシトメーターによる簡易蛍光定量法を開発した。本法は各種茶葉及び茶園土壌中のアルミニウム含有量測定に適用できる。


[背景・ねらい]

 環境保全の観点から茶園土壌中のアルミニウムの適切な管理に対する関心が高まってきている。一方、アルミニウム含有量から原料葉や緑茶の品質がある程度推定できることが知られている。そこで、簡易で選択性の高いアルミニウム定量法を開発し、茶園土壌の適切な管理及び原料葉と緑茶の品質評価に資する。

[成果の内容・特徴]

  1. アルミニウムを含む試料溶液に、DHAB発色溶液、緩衝溶液(pH5.5)及びイオン強度調整溶液を加えて反応後、C-18オクタデシルシラン(ODS)修飾型プレート上へスポットする。静置後、形成された円形の発蛍光性斑点をUVランプ照射下、目視またはデンシトメーター法により蛍光定量する(図1)。定量範囲は目視法で1〜25ppb、デンシトメーター法で3〜40ppbである。
  2. 開発した簡易蛍光定量法は茶園土壌中の置換性アルミニウム(III)含有量測定に適用できる(表1)。
  3. 開発した簡易蛍光定量法は、乾式灰化して調製した各種茶葉中のアルミニウム(III)含有量測定に適用できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 鉄(III)、銅(II)等の共存イオンの多い試料は、80%エタノールで3分間プレートを展開し、妨害を取り除いた後、測定を行う。約20倍の濃度まで除去が可能である。    
  2. 本法は高感度分析であるので、高純度試薬及びテフロン器具等を使用するなどしてアルミニウムの混入を極力避ける必要がある。
  3. カテキン等の妨害のため直接茶葉抽出液を用いることはできない。

[その他]