- カンショの系統1384種類の中では、葉部総ポリフェノール含量が凍結乾燥試料100g当たり4.5〜6.0gの範囲に分布する系統が最も多く529種類ある(図1)。葉部総ポリフェノール含量が最も多い系統は17.1gであり、1384種類の平均は5.9gである。塊根を利用する品種である「コガネセンガン」と「高系14号」の葉部総ポリフェノール含量は3.0g以下である。また、12種の市販野菜の可食部総ポリフェノール含量は0.3g(ニンジン)〜4.6g(シュンギク)の範囲にある(表1)。カンショ遺伝資源には、葉部総ポリフェノール含量が市販野菜を上回る系統が多数ある。
- カンショの一系統の茎葉より単離したポリフェノール成分は、クロロゲン酸、4-O-, 5-O-ジカフェオイルキナ酸(4,
5-CQA)、3-O-, 5-O-ジカフェオイルキナ酸(3, 5-CQA)、3-O-, 4-O-ジカフェオイルキナ酸(3,
4_CQA)、及び3-O-, 4-O-, 5-O-トリカフェオイルキナ酸(3, 4, 5-CQA)の5種類のカフェー酸誘導体である(図2)。これらはいずれもカフェー酸(カフェイン酸またはコーヒー酸とも呼ばれる)を部分構造としてもつ。
- カンショの系統1384種類の内、総ポリフェノール含量が最も多い系統20種類の葉部は、いずれもカフェー酸および上記5種類の物質を含み、これら6物質の中で3, 5-CQAを最も多く含んでいる(表2)。それぞれの含量についての、最高、最低及び平均は表2の通りである。
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