ASF(アフリカ豚熱)ワクチンのない豚の海外病

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家畜
伝染病

豚、いのしし

特徴

ASFASFはASFウイルスの感染によって起こる豚といのししの伝染病で、症状がCSF(豚熱)に似ているが全く別の病気である。本病は甚急性(じんきゅうせい=非常に急性)から不顕性(ふけんせい=症状を示さない)まで病型が様々である。甚急性や急性では、感染後1週間程度で発熱、食欲不振および粘血便を呈し、その致死率は100%に達する。死亡豚では脾臓やリンパ節の腫大および出血病変が確認される。

ASFウイルスはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国に常在化しており、そこに生息する野生のイボイノシシ等は不顕性感染で、本病の保有動物である。ウイルスはダニが本来の宿主とされ、イボイノシシとの間で感染環を作っている。豚は偶発的にウイルスに感染した時に症状を示し、血液中に多量のウイルスが出現して次の感染を引き起こす。本病は2007年にアフリカ大陸から東欧諸国やロシアに侵入して、野生イノシシや飼養豚の間での感染が拡大し、近年では西欧諸国でも発生が確認されている。また、2018年には中国で本病の発生が確認され、アジア諸国やパプアニューギニアにまで急速に発生が拡大している。

本病は、感染動物との直接的な接触の他、感染豚の肉や畜産物を含む厨芥(ちゅうかい=残飯)、ウイルスを保有するダニ、ウイルスに汚染された物品による間接的な接触により伝播(でんぱ)する。


対策

有効な治療法やワクチンはない。わが国は本病の清浄国であり、動物検疫により侵入防止が図られている。農場で異常豚が発見されれば直ちに家畜保健衛生所に連絡する。また、CSF対策の一環として実施されている捕獲野生イノシシや死亡野生イノシシのCSFウイルス浸潤状況調査と併せて、ASFウイルス検査が実施されている。

[写真:ASFV感染豚の脾臓内にみられたASFV粒子]

(動物衛生研究部門 深井克彦)

参考情報

・家畜の監視伝染病 ASF(アフリカ豚熱)
・疾病情報 ASF(アフリカ豚熱)


情報公開日:2014年12月10日

情報更新日:2021年3月15日

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