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ベンタゾン液剤に対する大豆「シュウリュウ」の反応特性と薬害を軽減する散布時期

[要約]

ベンタゾン液剤を散布後、初期薬害が発生するが新葉の発生とともに薬害程度は認められなくなる。減収程度は「ナンブシロメ」と同程度である。処理後2日間の日照時間が1日当たり5時間程度までであれば減収は少ない。

[キーワード]

ダイズ、ベンタゾン液剤、薬害、軽減

[担当]

岩手県農業研究センター・技術部・作物研究室

[代表連絡先]

電話0197-68-4417

[区分]

東北農業・畑作物(畑作物栽培)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

多収、高品質および豆腐加工適性が優れる大豆品種「シュウリュウ」に広葉雑草対象の茎葉処理除草剤であるベンタゾン液剤を散布した場合、葉の薬害及び減収が発生することが知られている。そこで、本剤に対する「シュウリュウ」の反応特性および薬害及び減収を低減する散布時期を示すものである。

[成果の内容・特徴]

  1. 大豆「シュウリュウ」の2葉期に本剤を処理した場合、葉に褐変、葉巻き、色抜けの初期薬害が発生するが、新葉の発生とともに薬害程度は小さくなる。初期薬害の回復程度は、100ml/10a処理が150ml/10a処理よりも早く(表1)、子実重の減収率は、100ml/10a区で9%程度、150ml/a区では13%程度である(表2)。
  2. 大豆5葉期処理では、大豆2葉期処理と同様に葉に褐変、葉巻き、色抜けの初期薬害が発生するが、処理20日後には薬害症状は認められなくなる(表1)。子実重の減収率は、100ml/10a区で4%程度、150ml/10a区では8%程度である(表2)。
  3. 減収率は大豆5葉期処理に比べて大豆2葉期処理で、100ml/10a処理に比べて150ml/10aで高くなることから(表2)、大豆5葉期に100ml/10a処理することにより、減収を軽減することができる(表2)。
  4. 「シュウリュウ」の減収程度は、「リュウホウ」より大きいが、「ナンブシロメ」と同程度である(表2)。
  5. 処理後2日間の日照時間が1日当たり5時間程度までは、薬害の発生が少なく減収は少ない(図1)。
  6. 低日照時に本剤を低薬量(100ml/10a)で処理しても広葉雑草に対する除草効果の低下は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 農薬の使用にあたっては、ラベルの表示事項を必ず確認のうえ、使用基準を遵守し、使用者が責任を持って使用すること。
  2. 大豆の生育不良時の散布およびブームスプレイヤー等で重複散布した場合、薬害および減収が助長される場合がある。

[具体的データ]

(岩手県農業研究センター)

[その他]

研究課題名
大豆の奨励品種決定調査及び有望系統の特性調査
予算区分
県単
研究期間
2007年〜2013年
研究担当者
伊藤信二