培養土の酸度矯正によるハクサイ根こぶ病の発病抑制


[要約]
ハクサイ根こぶ病菌休眠胞子の発芽抑制を目的として、セル苗培養土をpH7.2の酸度矯正に必要な炭酸石灰添加量を求めた。菌密度104 個/g乾土のほ場では、100gの培養土当たり10gの炭酸石灰添加により発病抑制が認められる。
 和歌山県農業試験場・環境保全部 ・栽培部・病虫部
[連絡先]0736-64-2300
[部会名]生産環境、野菜花き、総合研究
[専  門]肥料、作物病害、 栽培
[対  象]葉茎菜類
[分  類]研究

[背景・ねらい]
 根こぶ病菌休眠胞子は土壌pH7.2以上で発芽が抑制されるが、ほ場全体をpH7.2に矯正することは、後作へ影響を及ぼす。そこで、育苗時にセル苗培養土のpHを7.2に矯正し、発病を抑制する。培養土のpHを7.2に保つために必要な炭酸石灰量と、添加培養土のハクサイ根こぶ病の発病抑制効果及び収量性を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 培養土(エレガード社製.No22、水苔ピート主体)のpHを7.2に矯正するのに必要な炭酸石灰の添加量は、緩衝曲線から100g当たり2g以上である(図1)
  2. 培養土100g当たり2g以上の炭酸石灰添加により、定植時までの育苗期間中のセル苗(128穴)の培養土のpHを7.2以上に維持できる(図2)
  3. 菌密度104 個/g乾土のほ場では培養土100g当たり10gの炭酸石灰の添加により収穫時まで培養土(主根地際部)のpHを7.2以上に維持でき、主根の腐敗と収量低下を防止できる(図3、平成7年度)。
  4. 菌密度104 個/g乾土のほ場では炭酸石灰添加培養土(10g炭酸石灰/100g培養土)は根こぶ病発病抑制効果がある(図4、平成8年度)。

[成果の活用面・留意点]
  1. セル苗培養土の酸度矯正により発病の抑制ができ、後作への影響を軽減できる。
  2. 本技術は農家慣行である薬剤(フルアジナム、40㎏/10a)と石灰窒素(100㎏/10a)及び石灰資材(炭酸苦土石灰または動物質石灰、200㎏/10a)を全層施用したほ場で栽培した結果である。
  3. 本技術は菌密度104 乗個/g乾土のほ場で栽培した結果であり、事前にほ場の菌密度を調べる必要がある。
  4. 培養土への炭酸石灰添加により根圏部が弱アルカリ性になるので、使用する培養土によっては育苗期間中の微量要素の葉面散布など肥培管理対策が必要である。

[その他]
 研究課題名:軟弱野菜の高生産性及び根こぶ病発生抑止技術の開発
 予算区分  :地域基幹
 研究期間  :平成7年度~8年度、(平成6年~10年)
 研究担当者:橋本 崇、神藤  宏、前田和也、吉本 均
 発表論文等:園芸学会雑誌、第65巻、別冊1、1996.(園芸学会平成8年度春季大会研究発表)

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