不耕期栽培圃場における減水深と漏水対策の効果


[要約]
不耕期栽培の継続で、細粒グライ土では漏水過多になる心配はない。地下水位が低い中粗粒灰色低地土、灰褐系では減水深が非常に大きくなり、耕起移植田の2倍以上の用水が必要になる。その対策として防水シートによる畦畔漏水対策が有効である。
 岡山県立農業試験場・化学部・土壌保全
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]生産環境・総合研究
[専 門]農地整備
[対 象]水稲
[分 類]普及

[背景・ねらい]
 不耕期栽培の継続によって減水深が大きくなり、土壌型によっては水管理に多大の労力が必要になることが予想される。そこで、不耕期栽培の継続が減水深に及ぼす影響を明らかにし、その対策技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 減水深は不耕起継続で地下水位(40㎝)の高い細粒グライ土では大きくならなかったが、地下水位(1m以下)が低い中粗灰色低地土、灰褐系では大きくなった(図1)
  2. 中粗灰色低地土、灰褐系の不耕起継続区の減水深は、それと隣接する耕起移植区の減水深に比べて7月下旬の最高分けつ期までに特に大きく、その後の差は小さくなった(図2)。これは、不耕起土壌独特の根穴等の土壌構造が水稲根の伸長に伴いしだいに寒がれるためと考えられた。
  3. 中粗粒灰色低地土、灰褐系において、平成7年春に漏水対策を施工(図3)した不耕起漏水対策区では、最高分げつ(7月下旬)までの漏水量をかなり抑制でき、その後の減水深は隣接する耕起移植区とほぼ同じレベルになった(図2)
  4. 不耕起田における漏水対策の有無による減水深の差は、縦浸透量が同じである(同一圃場)ことから畦畔浸透量の差に相当すると考えられた。不耕起漏水対策区の減水深と耕起移植区の減水深の差は、漏水対策で畦畔浸透が抑制されているので、概ね不耕起継続による縦浸透の増加量と判断された。
  5. 以上の結果、中粗粒灰色低地土、灰褐系の耕起移植区における用水量1529t/10aが畦畔浸透、347t/10が縦浸透の増加に由来するものと試算され(表1)、防水シートによる畦畔漏水対策が有効と考えられた。

[成果の活用面・留意点]

 不耕起継続による減水深増加、地下水位が低い地帯の畦畔漏水が特に問題である。
 漏水対策によって畦畔漏水を抑制できるが、効果の持続性は今後の問題である。

[その他]
 研究課題名:長期不耕起継続田実態調査
 予算区分  :土壌保全、地域基幹農業
 研究期間  :平成8年度(平成4~7年)
 研究担当者:石橋英二、赤井直彦
 発表論文等:なし

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