- [要約]
- 移植時の落水による窒素成分の流出がない、環境にやさしい施肥法として、水稲の生育に必要な窒素成分全量を育苗培土に溶出時期の異なる被覆肥料を混合して用いることで栽培が可能である。
広島県立農業技術センター・環境研究部
[連絡先]0824-29-0521
[部会名]生産環境(土壌肥料部)
[専 門]肥料
[対 象]水稲
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 水稲栽培において、肥料の利用効率を高め、環境に負荷を与えない施肥技術の確立が求められている。そこで、移植時の落水による窒素成分の流出がない施肥法として、被覆肥料(UC肥料N-40%)を育苗培土に用いる方法について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 「中生新千本」を供試し、3週頃から溶出する被覆肥料を40%と7週頃から溶出する被覆肥料を60%と混合し、苗箱に入れ発芽させる(図1)。
- 苗質は慣行区と比較して、1995年、96年とも被覆肥料区が草丈、葉令とも優り、乾物重は重く、N含有量の高い苗となつた(表1)。移植は機械で行なうが、植付けに支障は無く、生育に悪影響は無い。
- 収量は、被覆肥料区が95年は一穂籾数、千粒重の増加、96年は一穂籾数の増加により慣行区に優る(表2)。
- 施肥料を慣行より20%減らしても収量は優る(表2)。
- 施用窒素利用率は慣行区に比べて、両年とも被覆肥料区が高い(表2)。
- ’96年慣行栽培の落水量は10a当たり105で、窒素流出量は基肥施用量の9.5%である。
- 以上の結果、慣行栽培は移植時の落水で窒素成分が流出する。肥覆肥料を培土に用いると窒素成分の流出は無く、減肥も可能で、環境に与える負荷も軽減出来る。
[成果の活用面・留意点]
- 出芽期の管理は慣行法で行い、緑化期以降は平均20℃以上にならないように管理する。
- りん酸、加里も全量基肥に施用することにより省力化も図れる。
[その他]
研究課題名:土壌環境調査事業(環境保全型栽培基準設定調査)
予算区分 :国補
研究期間 :平成8年度(平成6~8年)
研究担当者:中藪正之
発表論文等:なし
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