- [要約]
- 円筒型ライシメーターの埋設深度におけるマトリックポテンシャル(M)をもとに、同ライシメーターの壁の高さ(H)をH>-Mとすると、浸透水を効率よく採取でき、水溶性成分溶脱量の測定が可能である。
鳥取県農業試験場・環境研究室、農業研究センター・水質保全研究室
[連絡先]0857-53-0721、 0298-38-8829
[部会名]近畿中国・生産環境
[専 門]環境保全
[対 象]
[分 類]研究
- [背景・ねらい]
- 畑地、なかでも砂丘畑においては、本来保水力が乏しいことから、多潅水、これに伴う多施肥に由来する硝酸態窒素の流亡が大きいと考えられる。しかし現在のところほ場における水移動やこれに伴う肥料成分の溶脱量を簡易に計測する手法が確立されていない。そこで砂丘畑においてこれらを簡易高精度に計測する手法について検討した。
[成果の内容・特徴]
- 円筒型ライシメーターの壁の高さは同ライシメーターの埋設深度におけるマトリックポテンシャルをもとに次式により算出する(図1)。
H>-M H:円筒型ライシメーターの壁の高さ(cm)
M:ライシメーターと土壌界面のマトリックポテンシャル(cmH2O)
注.マトリックポテンシャルは降雨後、重力水の下降移動が止った時点で、テンシオメーター法により測定。
- 粒径0.2~2mmの粗砂を用いた試験より、円筒型ライシメーターの集水効率は、同ライシメーター壁の高さによって異なり、高さ10cmのものでは集水できなかったが、15、20、25cmのものでは88~113%と一定の集水効率が得られた(図2)。
- 降雨強度を1.5~9.7mm/hrで変化させたところ、円筒型ライシメーターの集水効率は88~99%となり、降雨強度1.5mm/hrでもほぼ満足できる集水効率が得られた(図3)。
- 円筒型ライシメーターによる土壌浸透水中のBr- の回収率は84~105%で、水溶性成分についても効率よく採取できると考えられた(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- 円筒型ライシメーターの径が小さくなると、土壌浸透水の壁面流下や大孔隙中の土壌浸透水の捕捉等の問題があるので注意を要する。
- 粗砂主体の砂土に適用するが、適用できる砂丘砂の種類、地下水位の影響については、今後さらに検討する必要がある。
[その他]
研究課題名:砂丘畑における環境保全型土壌管理
予算区分 :国庫補助(土壌保全)
研究期間 :平成8年度(平成7~11年)
研究担当者:岡本英裕、前田守弘(農業研究センター)、尾崎保夫(農業研究センター)、川上俊博
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