- [要約]
- 本県中山間野菜産地である大和高原南部地域のホウレンソウを中心とした野菜の流通実態を調査し、農協系統外の多様な出荷組織が庭先集荷と包装の簡便化によって生産者を引きつけていること、農協としては、パート労働または包装機を導入した共選場の設立が必要であることを明らかにした。
奈良県農業試験場 地域特産プロジェクトチーム
[連絡先]07442-26201
[部会名]総合研究 営 農
[専 門]経 営
[対 象]
[分 類]行 政
- [背景・ねらい]
- 大和高原南部地域はホウレンソウ・ダイコンなど中山間の冷涼な気候を生かした野菜生産の歴史があり、現在も地域全体としてはかなりの生産・販売量を誇っている。しかし一部地域を除くと集落、農協系統いずれの集・出荷組織も弱いため、産地としての販売力が必ずしも生産力に見合ったものとなっていない。
- こういた状況の原因をさぐり、販売力強化の方策を検討するために当地域の野菜流通実態を把握し、地域の流通の組織化の課題などを明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 産地実態
- 一部地域を除き、地域の中核となる強力な出荷主体が存在せず、代わりに卸売業者、仲買業者、運送業者などがこの地域の集・出荷業に進出している。また、消費者グループとの契約生産も行われている。
- 農協系統外の業者の特徴は「庭先集荷」と「包装の簡便化」である。また、多様な出荷主体、農協のいずれも市場の価格形成への影響力持つほどの集荷量は確保できていない。
- 当地域のホウレンソウ生産は10時間/日を越える過重労働に依存しており、特に調整・出荷作業が大きな比重を占めている。このことが販売力の弱さの原因ともなっている。高齢化、後継者難の中で産地の存続をめざし、生産量の拡大を図るためには、特に調整作業における過重労働から脱却しなければならない。
- 販売力強化の方策
- そのためには、調整出荷作業を家族労働から分離する必要がある。現時点で可能な方法はア.パート・内職など雇用の活用、イ.小規模包装機の導入、ウ.共選場の設立などである。
- 産地の拡大のためにも、農協が集荷力を拡大し産地の市場対応力を強めるためにも、パート労働または包装機を導入した共選場の設立が有効である。
[成果の活用面・留意点]
- 共選については小規模調整機械による個別対応の動きもあるので、農協としての設立の意向を早期にアナウンスする必要がある。
- 共選場を設立する場合、何らかの集荷体制を整える必要があり、地域ぐるみでの取り組みに向けての啓発などの行政支援も有効となる。
- (表1) [具体的データ]
[その他]
研究課題名:中山間地域における特産野菜の周年安定・省力生産体系の確立
予算区分 :地域基幹
研究期間 :平成8年(平成6年~10年)
研究担当者:杉本好弘、黒住 徹
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