小包(通称ハカマ)発生が少ないキヌサヤエンドウ新品種の育成経過とその特性


[要約]
キヌサヤエンドウの‘美笹’と‘W57’を交配し、F2 ~F6 まで試験管内で世代促進し、その後、圃場で選抜をすすめ、‘美笹’と比較して、莢の特性、収量がほぼ同じであり、果柄に小包発生が少ない品種‘紀州絹莢1号’を育成した。
  和歌山県暖地園芸センター・育種部
[連絡先]0738-23-4005
[部会名]野菜・花き、生物工学
[専 門]育種
[対 象]果菜類
[分 類]普及

[背景・ねらい]
 本県のキヌサヤエンドウの主要品種は‘美笹’であり、産地では2莢付きの果房収穫(通称アベック莢)を行っている。しかし、‘美笹’は果柄に小包(通称ハカマ)が発生しやすく、出荷時にこれを除去する必要があり、余分な労力を要する。そこで、小包発生が少ない品種の育成に取り組み、‘紀州絹莢1号’を育成した。

[成果の内容・特徴]

  1. 平成元年に‘美笹’と‘W57’を交配し、翌年、F2 を採種した。その後、試験管内で世代を促進し、F6 をガラス温室で栽培して個体選抜を行った。さらに、系統選抜をすすめ、平成6年に育種目標に近い1系統‘4-1’を選抜した。特性調査、生産力検定、現地適応性検定の結果、本系統を有望と認め、平成9年2月、‘紀州絹莢1号’と命名した。
  2. 莢の大きさ、形、色、軟らかさ等は‘美笹’とほぼ同じである(表1)
  3. ハウス栽培における果柄の小包発生率は、‘美笹’に比べて低く、1月以降、ほとんど発生しない(表2)
  4. ‘美笹’に比べて草丈、節間長が短かく、初花房節位が低い。花色は白である(表3)
  5. ハウス栽培における11月から4月までの収量は、a当たり289.9kgで、‘美笹’の314.4 kgに近い収量が得られる(図1)
  6. 以上の結果、新品種‘紀州絹莢1号’は‘美笹’と比較して、莢の特性、収量がほぼ同じであり、果柄に小包発生が少ない利点がある。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本品種の導入により、出荷調整の省力化が図られ、キヌサヤ産地の維持、発展に役立つものと思われる。
  2. 本品種は平成9年3月、品種登録に出願した。

[その他]
 研究課題名:産官共同バイテク育種事業
 予算区分  :和歌山県農協連合会との共同研究
 研究期間  :平成8年度(平成1年~8年)
 研究担当者:藤岡唯志、花田裕美、加藤一人
 発表論文等:キヌサヤエンドウの新系統‘4-1’の育成とその特性、園学雑誌、65巻別冊1、1997.

目次へ戻る