- [要約]
- 光の反射率が高く、通気性を有する多孔質シートのマルチ処理を収穫前約1カ月間、圃場全面に実施すると、樹冠下部の光環境の改善と土壌水分の制御により、毎年安定して果実糖度を1%程度増加できる。
広島県立農業技術センター・果樹研究所・落葉果樹研究室
[連絡先]0846-45-1225
[部会名]果樹
[専 門]栽培
[対 象]果樹類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 消費者の果物に対する嗜好の高級化・多様化に伴い、品質の悪い果実は売れにくくなっている。とくに、モモでは、収穫前1カ月間の不良天候が果実糖度を著しく低下させるため、気象の変動に左右されることなく、高品質な果実を安定して生産する技術の開発が強く望まれている。そこで、高品質果実を安定して生産する手段として、フィルムマルチによる光環境の改善と土壌水分の制御を検討する。
[成果の内容・特徴]
- モモの果実糖度を高めるフィルムマルチの効果は、4カ年間とも認められ、その範囲は0.9~1.4%である(図1)。なお、マルチ処理の概略を図2に示す。
- フィルムマルチ処理の範囲は、圃場全面(100%被覆)が畝上だけ(50%被覆)より効果が高い(表1)。
- フィルムマルチ資材として、多孔質シート、シルバーポリフィルムおよびアルミ蒸着フィルムを検討した結果、それらの光の反射率は88%、46%および72%で多孔質シートが優れている。しかも、通気性を有し、水を通さないので最適資材である。
- 土壌水分をpF2.6以下で管理すれば、果実肥大の抑制や渋味の発生はない(表2)。
- マルチ処理にかかる作業内容は、稲ワラ敷き(雨水を園外に排除するため傾斜をつける)、マルチの展開・切断、巻き取り用パイプの連結、パイプへの固定で、作業時間は10a当たり2人でおよそ7.5時間である。
[成果の活用面・留意点]
- フィルムマルチ処理を行う場合は、過乾燥による小玉果や渋味果の発生を避けるため、かん水施設の整備が必要である。
[その他]
研究課題名:気象変動に対応した高品質モモ果実生産管理技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成8年度(平成4年~8年)
研究担当者:赤阪信二、今井俊治、小笠原静彦、藤原多見夫
発表論文等:なし
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