- [要約]
- 暖地で10月上旬までに播種すると、11月中旬に出穂する超極早生のイタリアンライグラスを育成した。「山系26号」は極早生の「ミナミアオバ」に比べ、年内草の乾物収量は約10%高く、圃場残根量は半分以下で、水稲および夏作飼料作物の前作に適する。
山口県農業試験場・経営作物部・牧草育種研究室(農林水産省 牧草育種指定試験地)
[連絡先]0839-27-7021
[部会名]草地・(育種)、近畿中国・(畜産)
[専 門]育種
[対 象]牧草類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 近年、西南暖地では夏作飼料作物栽培、水稲栽培の早期化に伴い播種期、田植期が早くなっている。これら夏作物とイタリアンライグラスの作付体系において、夏作の作付準備を時間的余裕をもって行うには、既存の品種よりさらに出穂期が早く、生育期間の短い超極早生品種が求められている。「山系26号」は年内出穂する系統の作出をねらいとして育成したものである。
[成果の内容・特徴]
- 「山系26号」は出穂期が極めて早い。極早生の「ミナミアオバ」、「サクラワセ」の出穂期は4月上旬であるが、「山系26号」は10月上旬(平均気温17℃)までに播種すれば年内に出穂する(表1)。
- 形態を「ミナミアオバ」と比較すると、草型はより直立型で、草丈、稈長は低く、稈の太さ、葉身長、葉幅も小さく、1株あたりの茎数は少ない(表2)。
- 乾物収量を「ミナミアオバ」対比でみると、年内草収量は109、春1番草収量は62、合計収量は80で年内草収量が高い(表3)。
- 乾物収量を地域別にみると、神奈川より平均気温の高い場所の3カ年平均は沖縄を除き年内草収量、春1番草収量とも多いが、石川より平均気温が低い場所では低収である(表3)。
- 乾物率は年内草15.3%、春1番草19.1%で「ミナミアオバ」より約2~3%高い。
- 刈取後の圃場残根量は少なく、「ミナミアオバ」の半分以下であり、水田裏作に有望である(表4)。
- 耐雪性は「ミナミアオバ」同様に極弱である。
- 冠さび病抵抗性は中程度である。いもち病抵抗性は「ミナミアオバ」より強い。
[成果の活用面・留意点]
- 適地は平均気温が10月は16℃以上、1月は4℃以上の地域で、主として九州、中四国の低標高地の水田および畑である。
- 10月中旬以降(平均気温17℃以下)に播種すると、年内に出穂しないので山系26号の特性が発揮できない。播種適期は9月中~下旬である。極端な早播きは、いもち病多発のおそれがあるので避ける。
[その他]
研究課題名:暖地向きイタリアンライグラス品種の育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :平成8年度(昭和60~平成8年)
研究担当者:小田俊光、横畠吉彦、松岡秀道、牛見哲也、藤原健、芦沢宏之、小橋健、林克江
発表論文等:なし
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