分娩前後同一TMR(混合飼料)給与による高泌乳牛の飼養管理技術


[要約]
分娩前に泌乳前期用TMR(体重の1%(DM))とチモシー乾草の自由採食とすることにより、分娩直後からTMRの自由採食が可能で、採食量は順調に増加する。乳量は分娩後2週目には最高乳量の8~9割に達し、その後も高泌乳が持続する。
 京都府畜産研究所・大家畜部
[連絡先]0773-47-0301
[部会名]畜産
[専 門]飼育管理
[対 象]乳用牛
[分 類]指導

[背景・ねらい]
 TMR給与方式でも分娩前後でTMRの内容を変更したり、分娩後しばらくは給与量を制限し段階的に増給したりしているが、飼養規模が大きくなると多くの労力が必要となってくる。また、乳用牛の泌乳能力は年々向上しており、泌乳初期の養分充足率を早く高める必要がある。そこで、高泌乳牛の分娩前後の省力的・合理的な飼養管理方法として、分娩前に泌乳前期用TMRへの切替えを完了し、分娩後は分娩直後からTMRの自由採食とする飼養法について検討した。

[成果の内容・特徴]

 TMRの養分含量(乾物中)はTDN76.5%、CP17.0%、NDF33.0%、粗繊維17.0%とし、粗濃比は45:55とした。チモシー乾草(米国産、開花期)の養分含量(乾物中)はCP 8.7%、NDF65.6%、粗繊維37.6%であった。飼料給与方法は表1のとおり分娩前後を通じて自由採食条件とした。供試頭数は未経産8頭、経産5頭であった。
  1. 分娩前、TMRの残飼はほとんどなく体重1%量のTMR(DM)は採食できる。分娩直後からTMRの自由採食としても食欲不振や食滞は見られず採食量は順調に増加した。当所慣行リード飼養法(粗飼料(DM)体重の1.3%~1.2%、濃厚飼料0.5Kg/日の増)を上回る採食量であり、分娩後の飼料給与が容易になる。(図1)
  2. 乳量は分娩後2週時には最高乳量の8~9割に達し、高乳量が持続した。試験終了時の305日期待乳量は初産牛が7,353kg、2産以上の牛が10,042Kgであり高泌乳牛にも適応できる飼養法である(図2、表2)
  3. 分娩後、早い発情回帰や体重の回復が期待できる(表2)

[成果の活用面・留意点]

 分娩前後の飼養管理の省力化が可能で、大規模なフリーストール牛舎でもつなぎ牛舎でも適用できる。

[その他]
 研究課題名:繊維消化率の高いグラスサイレージによる高泌乳牛の飼養試験
 予算区分  :府単
 研究期間  :平成8年度(平成6~8年)
 研究担当者:東井滋能、戸川博行、椿 昇
 発表論文等:繊維消化率の高いグラスサイレージによる高泌乳牛の飼養試験、京都畜研成績、
             35~36号、1995~1996.

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