排水処理して乾田化された耕作放棄棚田へのシバ導入法


[要約]
耕作放棄棚田は、排水処理によって乾田化し、前植生を刈払いや除草剤散布で抑圧した後、シバを植えつけ、放牧管理することにより、2年程度でシバの被度が約50%のシバ優占草地が造成できる。
 中国農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム 
[連絡先]08548-2-0144
[部会名]総合研究、畜産
[専 門]生態
[対 象]野草類
[分 類]指導

[背景・ねらい]
 現在、中山間地では耕作が放棄された棚田が増加傾向にある。これらの棚田跡地に、無施肥で永続的な利用ができ、地表を密に覆うため、土地の崩壊、流亡の防止に有効なシバを導入し、肉用牛の放牧飼養に用いることにより、土地の省力的な有効利用が図られる。そこで、灌木類およびイグサが優占する排水不良な棚田跡地を乾田化し、シバ型草地に転換する方法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ポット植えのシバを地下水位を変えて栽培した場合、高地下水位条件下では生育が強く抑制される。地下水位が高く、土壌が過湿な棚田跡地へのシバの導入に当たっては、排水処理により、地下水位を下げることが有効である(図1)
  2. 灌木類が生育する棚田跡地では刈払いを行い、法面の基部に深さ30~50cmの明きょを掘った後、1994年6月にシバの苗(15×9cm)を1枚/㎡植えつけた。また、イグサが優占する棚田跡地では除草剤(グリホサート)を散布し、刈払い、排水路を掘った後、同様にシバを植えつけた。両試験地とも隣接する野草地とともに放牧管理した。
  3. 両棚田跡地の土壌は、シバ導入時には顕著に液相率が高く、気相率が低いが、排水処理により経年的に液相率が低下し、乾田化が進む(図2)
  4. 両棚田跡地ともシバ導入当年は、裸地率が高く、植被率が低いが、翌年以降シバの被度が急速に高まり、導入後2年程度でシバの被度は約50%となる(図3)

[成果の活用面・留意点]

  1. 温暖地の中山間地の排水処理によって乾田化可能な耕作放棄棚田に活用できる。
  2. 草地管理として有刺植物等の不良草の除去および掃除刈りを年1~2回必要とする。
  3. 灌木優占地、イグサ優占地は、それぞれ隣接する野草地約1ha、3.5haとともに、約200~400、200~300CDの放牧を移植直後から行った。

[その他]
 研究課題名:里山、耕作放棄地におけるシバ型植生の導入定着条件の解明と保全的利用技術の確立
 予算区分  :経常
 研究期間  :平成8年度(平成6年~9年)
 研究担当者:大谷一郎、圓通茂喜、山本直之

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