卵胞発育誘起処理した3、4か月齢子牛からの卵子採取と血中ホルモンの動態


[要約]
3、4か月齢子牛にPMSGまたはFSHで卵胞発育誘起処理を行い、処理開始4日目に採取した卵子の核相は、PMSGを投与した場合にMⅡ期の卵子が多く同一時期の血中プロジェステロン、エストラジオール -17β値も高い傾向にある。
 山口県畜産試験場・畜産生物工学室・生物工学班
  兵庫県立中央農業技術センター・生物工学研究所
  岡山県総合畜産センター・経営開発部・先端技術科
  島根県立畜産試験場・繁殖技術科
  中国農業試験場・畜産部・育種繁殖研究室
[連絡先]08375-2-0258
       0790-47-1117
      0867-27-3321
       0853-21-2631
       08548-2-0144
[部会名]畜産、生物工学
[専 門]繁殖
[対 象]肉用牛
[分 類]研究

[背景・ねらい]
 子牛から卵子を採取し、体外受精により作出した胚を使って産子を得ることができれば、大幅に世代間隔を短縮することが可能となる。そこで、3、4か月齢の子牛に卵胞発育誘起処理を施し、ホルモンに対する反応性及び、採取した卵子の成熟ステージを調査した。また、春期発動前の外的ホルモンに対する、卵胞形成過程におけるホルモン動態を確認するために、3か月齢で血中プロジェステロン(P)及びエストラジオール -17β(E2 )の動きを調査した。

[成果の内容・特徴]

  1. 3か月齢子牛20頭、4か月齢子牛25頭にPMSG 1,000、2,000、3,000IUまたはFSH 15、30AUで卵胞発育誘起処理を行い、処理開始3日目に各々hCGを投与後、24時間で開腹手術により卵巣を摘出して卵子を吸引採取すると、3か月齢子牛では41.5±43.6個、4か月齢子牛では52.5±49.3個の卵子が採取できたが、個体によるばらつきが大きかった。
  2. MⅡ期の卵子の割合は3か月齢子牛ではPMSG3000IUを投与した場合に高い傾向にあり、4か月齢子牛ではPMSG2000IU投与した場合に高かった(表1)
  3. P値はPMSG投与後4日目の卵巣摘出時に軽度に上昇した(図1)。また、E2 値はPMSG投与の場合にはhCG投与時及び卵巣摘出時に、FSH投与の場合には卵巣摘出時に高値を示し、その値はPMSG2000、3000IUを投与した場合に特に高かった(図2)
  4. 以上より、FSHに比較してPMSGの方が投与後、早期から卵胞発育を促し、卵子の成熟に大きな影響を及ぼすことが明かになった。

[成果の活用面・留意点]

 MⅡ期の卵子の場合には直ちに体外受精が可能と思われるが、それ以外の卵子を利用するには成熟培養を行う必要がある。

[その他]
 研究課題名:優良和牛の早期選抜のための幼齢牛胚生産技術の確立
 予算区分  :地域重要新技術(国庫補助)
 研究期間  :平成8年度(平成6~8年)
 研究担当者:嶋屋佳子、藪上  剛、野上與志郎、安部茂樹、竹之内直樹
 発表論文等:卵胞発育誘起処理を行った2~4か月齢子牛の卵子の成熟ステージと血中プロジェステロン及びエストラジオール -17βの動態、
             第89回日本繁殖生物学会講演要旨、1996.

目次へ戻る