水生植物を利用した茶園排水の浄化装置の開発


[要約]
ヨシおよびマコモを定植した浄化フィルターに茶園排水を模した人工調整水を掛け流したところ、流入したNO3-Nの75%以上が浄化できた。各装置のNO3-N浄化能は、ヨシは0.68g/㎡・日、マコモでは0.60g/㎡・日であった。
 滋賀県茶業指導所
[連絡先]0748-62-0276
[部会名]茶業
[専 門]環境
[対 象]工芸作物類
[分 類]研究

[背景・ねらい]
 本県集団茶園のほとんどは中山間の傾斜地に位置しており、その下方には水田等が広がっている。そこで、この地形連鎖を利用した茶園排水浄化システムを確立するため、水生植物を利用した排水浄化装置を作成し、その浄化能について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 浄化装置は、未耕作の洪積世赤黄色土壌を約20cm充填した0.8㎡の水槽を3槽連結し、各々の水槽に水生植物を植えたものである。この装置を2系統設置し、浄化能力が高いとされているヨシおよびマコモを定植(H7.4~7月)した後、茶園排水を模した人工調整水(NO3-N:19ppm・NH4-N:1ppm含有)をH7年7月4日から56日間は6L/h程度、それ以降の55日間は3L/h程度の流量で掛け流し、NO3-N浄化能力を検討した(図1)
  2. ヨシ系・マコモ系とも第1フィルターの浄化率が高いが、8月以降は第2・第3フィルターも浄化率が高まる(図2・3)
  3. 期間中のNO3-N流入総量は、ヨシ系が208.3g、マコモ系は194.3gであった。ヨシ系・マコモ系ともに、NO3-N流入総量の75%以上を浄化可能で、総浄化量の50%以上は第1フィルターで浄化される(表1)
  4. 各系の浄化能を求めたところ、フィルター系全体ではヨシ系が0.68g/㎡・日、マコモ系では0.60g/㎡・日であった。また、第1フィルターでの浄化能はヨシ系が1.38g/㎡・日、マコモ系では0.94g/㎡・日であった(表1)

[成果の活用面・留意点]

  1. 集団茶園の集水域を利用した浄化システム開発の基礎資料となる。
  2. ヨシ・マコモを利用した浄化システムは茶園排水の浄化に有効であるが、植物生育期間が限られるため(5~10月)通年浄化するには、休眠期に利用できる浄化資材との組み合わせが必要と考えられる。

[その他]
 研究課題名:琵琶湖集水域の田畑転換水田および茶園における省肥料環境保全技術の確立
 予算区分  :地域基幹
 研究期間  :平成7年度(平成6~10年)
 研究担当者:今村嘉博、奥村茂夫
 発表論文等:水生植物利用による茶園排水の浄化について、茶業研究報告、第84号(別冊)、1996.

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