- [要約]
- 天蚕飼料樹園の隣接地域にブナ科植物が少なければ、飼料樹園が食樹的隔離環境となり、鱗翅目害虫の防除効果が高くなることが推察される。
滋賀県農業試験場・湖北分場
[連絡先]0749-82-2079
[部会名]近畿中国・蚕業
[専 門]作物虫害
[対 象]工芸作物類
[分 類]指導
- [背景・ねらい]
- 天蚕の飼料樹には多種の鱗翅目害虫が発生し、天蚕繭の安定生産に大きな障害となっている。そこで、日本産ブナ科植物19種を寄主とする鱗翅目害虫群の食性分析により、天蚕飼料樹(クヌギ・アベマキ・コナラ)園の立地条件が鱗翅目害虫の発生に及ぼす影響を推察した。
[成果の内容・特徴]
- 日本産ブナ科植物19種を加害する鱗翅目害虫種数は日本産鱗翅目昆虫の11%に相当する586種と非常に多い。その中でもコナラ属加害種が523種(落葉性コナラ属加害が492種、常緑性コナラ属加害が138種)と、コナラ属、特に天蚕飼料樹として利用されているクヌギ等の落葉性コナラ属植物に多く発生する。(表1)
- ブナ科植物を加害する鱗翅目害虫のおおよそ半数はブナ科植物だけしか食べない種である。
- 天蚕飼料樹として多く利用されているクヌギ、アベマキ、コナラの3種を加害する鱗翅目害虫のおおよそ半数はブナ科植物だけしか食べない種である。
- 天蚕飼料樹園の立地条件において、隣接地帯にブナ科植物が多い山間地では、鱗翅目害虫の食樹的生態環境が好条件となるため発生が多くなる。
[成果の活用面・留意点]
- 天蚕飼料樹園を新設する場合は、隣接地帯にブナ科植物、特に落葉性コナラ属植物が少なく害虫が発生しにくい風通しの良い場所を選定する。害虫の薬剤防除は天蚕放飼前に2回以上は実施し、なかでも防除適期の萌芽期には必ず防除を行う。
[その他]
研究課題名:天蚕繭の生産技術確立 1)天蚕飼料樹の害虫生態調査と防除技術
予算区分 :県単
研究期間 :平成8年度(昭和58~平成8)
研究担当者:寺本憲之
発表論文等:日本産鱗翅目害虫食樹目録(ブナ科)、滋賀農試研報、別号1、1993.
天蚕(ヤママユ)飼料樹、ブナ科植物を寄主とする鱗翅目昆虫相に関する研究、滋賀農試特研報、19、1996.
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