蚕の全齢人工飼料によるカラー繭・生糸の生産技術


[要約]
カラー繭・生糸は全齢人工飼料育の5齢期蚕児に染料を添加した飼料を供与することによって生産できる。繭・生糸の着色度合いは染料の種類や給餌時期で異なる。カラー生糸を精錬すると褐色するため、着色部位は繭糸のセリシン部である。
 京都府農業総合研究所中丹分室
[連絡先]0773-47-0307
[部会名]蚕 業
[専 門]飼育管理
[対 象]蚕・生糸
[分 類]指導

[背景・ねらい]
 全齢人工飼料育は、飼育回数の増加や周年養蚕の可能性を秘め、生産拡大や経営改善の一方法として期待されているが、飼料コストが高く採算が合わないため普及に至っていない。このため、人工飼料費の低減に結び付く低コスト飼料や省力飼育技術の開発等が進められるとともに、生産繭の高品質化が求められている。今回、生産繭の付加価値を高め、用途拡大が期待されるカラー繭・生糸の生産について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. カラー繭・生糸は、全齢人工飼料育の5齢期蚕児に染料を添加した飼料を給与することによって生産できる。4齢期からの添食では蚕児が発育不良となり営繭しない。
  2. カラー繭は、粉体飼料比2%濃度の染料(ダイロン社マルチ染料:以下同じ)を加えた飼料を5齢4日目以降ニ給餌すると安定生産が図れる(表1・2)
  3. 5齢期3回均等給餌飼育で染料添食時期を変えた場合、1・2回目ともに添食すると化蛹歩合ヤ繭重が、1回目には普通飼料を給与し2・3回目に染料添食を行うと普通飼料のみの場合(対照区)と差が少ない(表3)。また、繭の着色度合いも2・3回目に染料を添食した場合が最も高い(図1)
  4. カラー生糸は煮繭・繰糸工程で一部脱色するため、着色度合が繭の場合よりやや劣り色相も変わる。さらに精錬するとほとんど褐色する。赤色染料の場合、繭はオレンジ色、生糸はピンク色となり、生糸精錬すると白色となる。(図1)
  5. 精錬すると脱色することから着色部位は繭糸のセリシン部と考えられる。

[成果の活用面・留意点]

  1. カラー繭・生糸は精錬すると褐色するので、精錬を必要としない用途に活用できる。
  2. 染料添食による繭の着色葉染料の種類や色素で差が生じ、いかなる染料でも可能とは言えない。

[その他]
 研究課題名:高付加価値繭生産技術の確立
 予算区分  :府 単
 研究期間  :平成8年度(平成6年~8年)
 研究担当者:西村利典、塩見忠士、竹内敬一郎、塩見香
 発表論文等:第60・62回日本蚕糸学会関西支部研究発表講要(1994・1996)

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