春どりダイコンとホウレンソウの組み合わせによる施設の周年利用体系の組み立て


[要約]
奈良県中山間地域の雨よけ施設において、2重被覆による春どりダイコンが1作と、雨よけホウレンソウが夏期を中心に4作でき、施設の高度周年利用が可能である。
 奈良県農業試験場・高原分場・地域特産開発チーム    
[連絡先]07458-2-2340
[部会名]総合研究、野菜・花き
[専 門]栽培
[対 象]葉菜類・根菜類
[分 類]普及

[背景・ねらい]
 本県中山間地域は雨よけホウレンソウの産地であるが、冬期はビニル被覆をはずし有機物資材を投入したのち、春までほとんど作付されていない。そこで春どりダイコンを導入し、各作型に適したホウレンソウの品種を選定することにより、施設の周年利用による所得の向上を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 1~4月にかけてダイコン1作と、5~11月にホウレンソウ4作を組みあわせると、雨よけ施設を周年利用できる。7、8月に太陽熱消毒を組み入れることもできる(表1,表2)
  2. ダイコンは除草と保温のため、黒ポリエチレンフィルムでマルチングをおこなう。畝幅60cmで一条20cm株間で点播し、間引いて一本にする。ビニルハウスとビニルトンネルの二重被覆とする。2月中旬以降は葉焼け防止のため晴天時の昼間のみトンネルを開放し、3月中旬以降はトンネルを除去する。‘春富’、‘つくし春’が収穫期まで抽だいせず、本作型に適した品種である。
  3. ホウレンソウは各作型とも雨よけとし、7月中旬~9月上旬は、寒冷紗で遮光する。真空播種機かシードテープを利用して、幅1m程度の畝に条間15cmで6条、株間5cmに播種し、間引きはしない。春から初夏は‘サマーライダー’、‘強力オーライ’、‘オリオン’の収量が高い。夏期の高温条件下で‘エスパー’、‘アクティブ’の発芽率が高く、収量が確保できる。秋期は‘アトランタ’、‘トライ’等の生育が良好で、特に‘アトランタ’はべと病の発生がきわめて少ない。

[成果の活用面・留意点]

  1. 4月出荷のダイコンの価格は、奈良県中央市場における奈良県産の1㎏当たり平均価格(H3~7年)が120円であり、通年平均価格80円に比べ比較的高値で安定している。ホウレンソウも7~8月の680~780円/㎏と高価格な時期を中心に出荷でき、300円/㎏と最も価格が低下する3月を回避できる。10a当たり粗収益はダイコンで54万円、ホウレンソウ4作で339万円、合計393万円となる。
  2. 11~12月の土づくり期間が短いため、有機物資材は十分完熟したものを用いる。
  3. 冬季の降雪に備えて、ハウスの補強を行う必要がある。

[その他]
 研究課題名:中山間地域における特産野菜の周年安定・省力生産体系と加工技術の開発
 予算区分  :地域基幹農業技術体系実用化研究
 研究期間  :平成8年度(平成6年~8年)
 研究担当者:中野智彦、中西喜徳 

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