- [要約]
- ほ場埋設法により被覆尿素の溶出率を測定し、溶出パラメータを反応速度論によって求める。このパラメータと茶園の日平均地温を用いて、任意の時期に施用する被覆尿素の溶出を予測することができる。
京都府立茶業研究所・栽培課
[連絡先] 0744-22-5577
[部会名] 茶業
[専 門] 肥料
[対 象] 工芸作物類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 茶園からの硝酸態窒素の溶脱が問題になっているため、被覆尿素利用の必要性は高い。被覆尿素は冬季や畑土壌中で溶出が遅く、既存の溶出曲線(水中、20~30℃)では現場への適合性に問題があるため、茶園における被覆尿素の溶出特性を明らかにし溶出率を予測する。
[成果の内容・特徴]
- 溶出パラメータの計算に用いた値は、2月(埋設深10、20cm)、3月(同)、5月(2.5cm)、9月(15、30cm、LPSS100のみ)に茶園へ埋設した4種類の被覆尿素の溶出率の推移と日平均地温である。
- これら地温の異なる時期の溶出率を反応速度論により25℃に温度変換し、溶出パラメータを求める(図1)。溶出速度定数は被覆尿素30日タイプ(LP30)、同50日タイプ(LP50)、同100日タイプ(LP100)の順に低下する。この3肥料は溶出速度の活性化エネルギー(Ea1 )の差が約3,000と小さいため、低温による溶出率の減少は同程度である。一方、初期溶出抑制100日タイプ(LPSS100)には約43日の溶出誘導期間がある(表1)。これらのパラメータと予測したい期間の茶園の日平均地温を用いて、任意の時期に施用する被覆尿素の溶出を予測できる。
- 予測では25℃恒温下における80%溶出到達日数は、いずれもメーカー資料(水中)より1~2割長い。LPSS100の溶出開始時期は15℃以下で大きく遅延する(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 溶出タイプと任意の施肥日を指定するだけで、溶出率予測の計算と溶出推移のグラフ表示が簡単にできる表計算シート(Excel用)を作成したが、当研究所内茶園の平年地温を格納してあるため、気候条件が異なる地域では地温データを差し替える必要がある。
- 溶出率を測定した埋設期間中の地温は3.3~28.4℃である。この範囲外の地温や著しい過湿、過干条件下では溶出パラメータが異なる可能性がある。
- 毎時地温と比べて日平均地温で計算した温度変換日数は低い値を示すが、茶園では1日内の地温変化が小さいため、日平均地温を用いても誤差は0.1%程度と無視できる。
[その他]
研究課題名 : 茶園施肥管理体系の改善
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成9年度(平成6~9年)
研究担当者 : 藤原敏郎、藤井孝夫、上辻久利
発表論文等 : 反応速度論的解析による茶園に埋設した被覆尿素の溶出特性、茶業研究報告、第85号(別冊)、1997
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