- [要約]
- 自然仕立て茶樹の窒素吸収特性を考慮し、慣行の施肥体系を被覆尿素肥料を利用した施肥体系に置き換えることにより、同窒素レベルにおいては、一番茶新芽の全窒素含量を維持しつつ、硝酸態窒素溶脱量を1~2割低減できる。
京都府立茶業研究所・栽培課
[連絡先] 0774-22-5577
[部会名] 茶業
[専 門] 環境
[対 象] 工芸作物類
[分 野] 研究
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[背景・ねらい]
- 玉露、てん茶栽培では、高品質を追求するあまり過剰な肥料投入が行われる傾向にあり、窒素溶脱等による環境への負荷が懸念されている。そこで、被覆尿素肥料等を利用し、茶樹の養分吸収特性に応じた効率的な施肥体系を確立するために、ライシメータによる栽培を行い、施用窒素の収支を把握することによって環境負荷への低減効果を調査した。
[成果の内容・特徴]
- 自然仕立て茶樹の窒素吸収特性を考慮し、秋肥に被覆尿素肥料70日タイプ(以下LP70という)を主体とした混合肥料を、また、一番茶摘採後の番刈り直前に、夏肥としてLPSS(シグモイド溶出型)100日タイプを施用することで年間窒素施用量の約40%を被覆尿素肥料で置き換える施肥体系を組み(表1)、浸透水中の窒素溶脱量を調査した。
- 被覆尿素肥料を利用した施肥体系により、浸透水中の硝酸態窒素溶脱量は、同じ窒素レベルでは、慣行に比べ52gN/㎡/年区では12%、75gN/㎡/年区では24%低減した(図1)。
- 被覆尿素肥料を利用した施肥体系による茶樹への吸収については、一番茶新芽の全窒素濃度に関しては施肥量に比例して高くなるが、同じ窒素レベルでは慣行区と差がなく(図2)、また、一番茶新芽を含む地上部全体の全窒素含量に関しては、施肥量に関係なく差はなかった(表2)。
[成果の活用面・留意点]
被覆尿素肥料を利用した施肥体系は、窒素溶脱量低減効果だけでなく、省力化(施肥回数の低減等)につながる技術である。
[その他]
研究課題名 : 技術の組立実証 (2)てん茶、玉露園(黄色土)における効率的施肥体系の実証(ライシメータ試験)
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成9年度(平成8年~9年)
研究担当者 : 荻 安彦、藤原敏郎、藤井孝夫、工藤康將
発表論文等 : 被覆尿素肥料を利用した効率的施肥体系による窒素溶脱量の低減効果、茶業研究報告、第85号(別冊)、1997.
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