送風による肥育豚のふん尿量と飲みこぼし水量の抑制


[要約]
夏季間に群飼された肥育豚に、床面に対して45度で送風すると、豚房内環境の改善と水分蒸散の促進により、豚房内のふん尿量と飲みこぼし水量を減少させることができる。また、1日平均増体量と飼料要求率も改善され、生産性の向上にもつながる。
兵庫県立中央農業技術センター・畜産試験場・家畜部
[連絡先]   0790-47-1117
[部会名]   畜産
[専 門]    飼育管理
[対 象]    豚
[分 類]    普及

[背景・ねらい]
 養豚一貫経営においては、肥育豚から排泄されるふん尿量が最も多い。さらに、夏季は暑熱により飲水量が増えて尿排泄量が増加するとともに、飲みこぼし水も増加するために汚水処理量が増加する。そこで、群飼された肥育豚への送風がふん尿量、汚水処理量及び発育に及ぼす影響を検討した。

[成果の内容・特徴]

     平均体重60kgの肥育豚24頭を用い、1区8頭を9.5㎡の豚房で、7~9月まで群飼した。送風区は豚房床面に対する送風角度を45度及び垂直に設定し、毎日8~18時まで2m/秒(床面中央で測定)で送風した。
  1. デジタル放射温度計で測定した体長1/2部位正中線上の皮膚温は、無送風に比べて45度送風区で最大で1.5℃低下する(図1)。
  2. 豚房からのふん尿回収量は、送風による水分蒸散の促進により無送風区に対して45度送風区で5.2%、垂直送風区で18.5%減少し、回収したふん尿混合物の水分含量は45度送風区で4.6%、垂直送風区で6.1%減少する(表1)。
  3. ふん尿混合物の窒素含量は、無送風区に対して45度送風区で14.3%、垂直送風区で28.6%増加して、窒素の濃縮が認められる(表1)。
  4. 飲水の飲みこぼし水量は、無送風区に対して45度送風区で31.9%、垂直送風区で18.5%有意に減少し、45度送風区が優れている(表2)。
  5. 1日平均増体量は、無送風区に対して45度送風区で12%有意に増加し、飼料要求率も無送風区に対して45度送風区が6.6%優れている(表2)。
  6. この技術により、夏季のふん尿量及び飲みこぼし水量が減少できるとともに、1日平均増体量と飼料要求率の改善による生産性の向上にもつながる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 送風機の設置は、豚舎構造の違いによる空気の流れに注意する必要がある。
  2. 肥育豚への送風は、気温が上昇する夏季において有効である。

[その他]
研究課題名 : 肉豚のふん尿排泄量低減技術の確立
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成9年度(平成7~9年度)
研究担当者 : 設楽 修、岩本英治
発表論文等 : 夏季の送風が肥育豚のふん尿排泄量と発育に及ぼす影響、第67回日本養豚学会大会講演要旨、1997.
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