乳中尿素態窒素と乳蛋白質率による泌乳牛の簡易栄養評価


[要約]
MUNと乳蛋白質率は給与飼料のTDN充足率や養分バランス(TDN/CP比)と関連しており、両成分はルーメン内における炭水化物と蛋白質の過不足を推定する指標値になり得る。
兵庫県立淡路農業技術センター・畜産部
[連絡先]  0799-42-4883
[部会名]    畜産
[専 門]     飼育管理          
[対 象]    乳用牛  
[分 類]    指導

[背景・ねらい]
 最新型の乳成分分析装置では、一般乳成分と同時に乳中尿素態窒素(MUN)の測定も可能となった。MUNは血中尿素態窒素(BUN)が乳汁中へ移行したものでルーメン内の発酵エネルギーと分解性蛋白質の量的な相対関係を反映して変動する。また、乳蛋白質率は摂取エネルギーを反映している。これらの関係に基づき、欧米では乳成分による泌乳牛の簡易な栄養評価が試みられている。
 そこで、血液自動分析装置でのMUN測定精度を確認し、飼料給与状況とMUNおよび乳蛋白質率の関連性を検討した。さらに、調査結果に基づいて栄養評価に用いるMUNと乳蛋白質率の指標値を策定した。

[成果の内容・特徴]

  1.  乳牛17頭から朝の搾乳時に血液と乳汁を同時に採取し、血液は血清を、乳汁は脱脂乳を検体として、乾式血液自動分析装置(フジドライケム)により尿素態窒素を測定した。
     その結果、BUNとMUNの濃度間には相関係数0.982の有意な正の相関が認められ、血液自動分析装置で測定したMUNも蛋白質代謝の指標として利用可能である(図1)。
  2. 泌乳牛32頭を対象に毎月1回、合計16回にわたり、MUNと乳蛋白質率を測定するとともに、個体毎の飼料構成と給与量・乳量・体重に基づき、養分充足率と養分含量を算出した。TDN充足率と養分バランス(TDN/CP比)はMUNおよび乳蛋白質率と有意な相関関係がある(表1)。
  3. 延べ260頭の調査記録のうちから、TDN/CP比が3.9~5.8でTDN充足率が100~120%を適正給与とし、これらに該当する個体を泌乳期毎に抽出した。それらのMUNと乳蛋白質率の平均±標準偏差を臨界指標値とした(表2)。
     表2の指標値をもって栄養評価表を作成した(表3)。

[成果の活用面・留意点]

     本試験の供試飼料は自給飼料にコーンサイレージを用い、分離方式で給与した。また、バイパス油脂添加によるTDN調整は行っていない。

[その他]
研究課題名 : 高蛋白質乳生産のための効率的飼料給与技術
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成9年度(平成7~9年)
研究担当者 : 生田 健太郎
発表論文等 : 血液自動分析システムによる乳中尿素態窒素量測定のための諸要因の検討、兵庫農技研報(畜産編)、第33号、1997.
                     コーンサイレージ使用時における飼料構成と乳中尿素態窒素量および乳蛋白質率の関連性、兵庫農技研報(畜産編)、第33号、1997.
目次へ戻る