低酸素濃度培養によるウシ体外受精由来胚の発生率と凍結融解後の生存性


[要約]
体外受精由来胚を、合成培養液(CR1aa)を用いて5%の低酸素濃度で体外培養した場合、胚盤胞期胚への発生率は20%酸素濃度あるいはTCM199液での共培養より高率であり、凍結融解後の生存性(孵化率)も高い。
島根県立畜産試験場・繁殖技術科
[連絡先]   0853ー21ー2631
[部会名]   畜産、生物工学
[専 門]    繁殖
[対 象]    肉用牛
[分 類]    研究

[背景・ねらい]
 ウシ体外受精由来胚は、体内由来胚に比べ、凍結傷害に対する感受性が高いことが指摘されており、凍結媒液および凍結方法ならびに耐凍性の高い体外受精由来胚の発生培養方法の開発が必要である。
 そこで、発生培養気相中の酸素濃度と培養液の違いが、体外受精由来胚の発生率および発生した胚の凍結融解後の生存性に及ぼす影響について調査し、耐凍性の高い体外受精由来胚の発生培養方法を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 5%酸素濃度の気相条件でTCM199(卵丘細胞との共培養)およびCR1aa液を用いた場合の胚盤胞期胚への発生率は、20%酸素濃度の気相条件でTCM199(卵丘細胞との共培養)を用いた場合に比べて高率である(表1)。
  2. 胚盤胞期胚の細胞数は、5%酸素濃度の気相条件でTCM199(卵丘細胞との共培養)およびCR1aa液を用いた場合が、20%酸素濃度の気相条件でTCM199(卵丘細胞との共培養)を用いた場合に比べて多い(表1)。
  3. 胚盤胞期胚をリノール酸アルブミン4.0㎎/ml添加の1.5Mエチレングリコールを凍結媒液として用いて凍結した結果、凍結融解後の孵化率は、5%酸素濃度の気相条件でCR1aa液を用いた場合が、20%酸素濃度の気相条件でTCM199(卵丘細胞との共培養)を用いた場合に比べて高い(表2)。

[成果の活用面・留意点]

     5%の低酸素濃度で合成培養液の(CR1aa)を用いた体外発生培養方法は、個体別のウシ体外受精由来胚または核移植再構築胚の発生率および凍結融解後の生存性を改善できる可能性がある。

[その他]
研究課題名 : 牛の細胞融合胚に関する研究
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成9年度(平成5~9年)
研究担当者 : 岡崎尚之、前原 智、高仁敏光、白石忠昭
発表論文等 : 平成9年度島根県畜産関係機関業績発表会、1998.
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