牛血中発情ホルモン測定のための2抗体法酵素免疫測定法


[要約]
牛血中エストロン(E1)測定とエストラジオ-ル17β(E2)測定のための抗E1・抗E2血清を用いた2抗体法酵素免疫測定法(EIA)を開発した。本測定法は放射性同位元素を使用せず、高い感度で正確に測定できる。
中国農業試験場・畜産部・育種繁殖研究室
[連絡先]  08548-2-0144
[部会名]  畜産
[専 門]   繁殖
[対 象]   肉用牛
[分 類]   研究

[背景・ねらい]
 牛の発情ホルモンのうちE1とE2の測定は卵胞機能や胎盤機能を正確に把握する手段として重要である。E2に対する抗血清を作製したところ、E1とも高い交叉性を有することが判った。そこで、この抗E1・抗E2血清を第1抗体として利用し、E1測定とE2測定のための高感度かつ高精度の2抗体法酵素免疫測定法(EIA)をそれぞれ開発した。

[成果の内容・特徴]

  1. 作製した抗E1・抗E2血清(抗Estradiol-17-hemisuccinate-BSAウサギ血清)は、EIAでは175×104 倍希釈(0.1ml/ウエル)での使用が可能である。本測定法はこの抗E1・抗E2血清を第1抗体として用い(交叉性はE1で100%,E2で31.8%)、標準物質を置き換えるだけで、E1ならびにE2それぞれの測定が可能であることを特徴としている。なお、この第1抗体とC19ステロイド(2種類)やC21ステロイド(6種類)との交叉性は認められない(0.001%以下)。
  2. 本法は、マイクロプレートに固相化した第2抗体に第1抗体を吸着させ、第1抗体に対して試料中E1あるいはE2と酵素標識物質とを競合反応させる競合法を測定原理としている。測定手順を図1に示した。EIAの前処置として、血中からのエーテルによるE1とE2それぞれの抽出とカラムクロマトによる精製を必要とする。
  3. 標準曲線はE1では0.05~100pg/ウエル、E2では0.5~500pg/ウエルの範囲で良好な形状を示し(図2)、測定感度はE1、E2で各々0.15pg/ウエル、0.25pg/ウエル以下の測定が可能である。本測定法はこれまでの放射性免疫測定法と比較して高感度であり、血漿1mlと少量で牛発情周期中E1とE2の測定が可能である。血漿1mlを試料として測定した牛発情周期中のE1、E2の推移は発情期卵胞ならびに第一次主席卵胞の消長を適正に反映するものである(図3)。
  4. 本測定法の変動係数は4.28~9.56%であり、1抗体法のもの(5.54~14.40%)と比較して高い測定再現性を示す。

[成果の活用面・留意点]

    E1、E2の構造は種特異性がないため、本測定法は他の動物に対しても応用が可能である。

[その他]
研究課題名 : 内因性性腺刺激ホルモンの人為的分泌調節による卵胞大量作出技術および効率的採取法の開発
予算区分    : 総合的開発研究「繁殖技術」
研究期間    : 平成9年度(平7~12年度)
研究担当者 : 竹之内直樹、大島一修、堂地 修、小松正憲、島田和宏、高橋政義
発表論文等  :  牛血漿中エストロンの酵素免疫測定法 : 第92回日本畜産学会大会講演要旨、172、1997.
目次へ戻る