- [要約]
- 黒毛和種肥育牛において血液中ビタミンA濃度を低くすると血清中インスリン様成長因子-I及びトリヨードサイロニン濃度が低下する。
兵庫県立中央農業技術センター・畜産試験場・家畜部
[連絡先] 0790-47-1117
[部会名] 畜産
[専 門] 生理
[対 象] 肉用牛
[分 類] 研究
-
[背景・ねらい]
- 黒毛和種肥育牛においてビタミンAの給与を制限すると増体が低下するが、脂肪交雑が良くなること知られている。しかしながら、その作用機序は不明である。甲状腺ホルモン及びインスリン様成長因子-I(IGF-I)は牛において増体に関与すると言われており、さらに、血液中IGF-I濃度と脂肪交雑の間には負の相関があることが報告されている。
そこで、ビタミンAの肉質、増体に対する作用機序を検討するために、血液中の甲状腺ホルモンとIGF-I濃度を調べた。
[成果の内容・特徴]
14か月齢の黒毛和種去勢牛8頭を用い、高ビタミンA群(4頭)と低ビタミンA群(4頭)に分け、高ビタミンA群にはビタミンA303mgを毎月筋肉内注射した。両群ともに21~23および26~27か月齢時にはビタミンA欠乏症を防止するためビタミンA(約100μg/kg飼料)を飼料に添加した。
- 試験期間中の飼料摂取量は両群で差は見られない。血清中ビタミンA濃度は高ビタミンA群では試験期間中25μg/dl以上の高い値で推移し、低ビタミンA群では20か月齢で6.6±1.6μg/dlまで低下し、それ以降は10μg/dl前後で推移する(図1)。
- 血清中IGF-I濃度は低ビタミンA群では徐々に低下し、18か月齢以降は試験開始時と比べ有意に低くなる(図2)。
- サイロキシン(T4)は両群で有意差は認められないが、トリヨードサイロニン(T3)は低ビタミンA群が有意に低い値を示す(図3)。血中T3のほとんどは末梢組織でT4からT3に変換されたものであるので、ビタミンAが末梢組織でのT4からT3への転換に影響すると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
ビタミンAの肥育牛の肉質、増体に対する作用機序の解明に活用できる。
[その他]
研究課題名 : ビタミンAによる成長ホルモンレベルの制御が肉質に及ぼす影響
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成9年度(平成8~10年)
研究担当者 : 岡 章生・道後泰治・壽圓正克・太田垣進・齋藤健光
発表論文等 : ビタミンAが黒毛和種肥育牛の増体、肉質及び血液中ホルモン濃度に及ぼす影響、第92回日本畜産学会大会講演要旨、23
Effects of Vitamin A on Beef Quality, Weight Gain, and Serum Concentrations of Thyroid Hormones,
Insulin-like Growth Factor-I, and Insulin in Japanese Black Steers 日本畜産学会報、69巻2号、1998.
目次へ戻る