水稲の中山間地における着色(黒色)再生紙を活用した栽培法の経済的評価


[要約]
移植時に低温となる中山間地での着色(黒色)再生紙マルチを活用した栽培法は、慣行に比べ、60kg当たり全算入生産費は約18%増加するが、販売価格を2割高にし、有機米等購入希望者に販売することで、当技術の現地定着が期待できる。
鳥取県農業試験場・作物研究室・環境研究室・経営技術研究室
[連絡先] 0857-53-0721
[部会名] 営農、総合研究
[専 門]   経営
[対 象]   稲類
[分 類]   指導

[背景・ねらい]
 環境保全型農業の一手段として、再生紙マルチ栽培があり、広く普及し始めている。しかし、移植時に低温となる中山間地では、初期生育の遅延等があり、普及していない。そこで、着色(黒色)再生紙を利用した中山間地での栽培法について経済的評価を行い、普及を図る上での資料とする。

[成果の内容・特徴]

  1. 生産費を慣行と比べると肥料費、諸材料費、減価償却費が増加し、農業薬剤費が減少する。収量は実証試験2年間平均でやや下回る。このため、60kg当たり全算入生産費は約18%(3.5千円)増加する。労働時間は田植作業時間が増加するものの、除草削減や病害虫防除回数の減少により、総労働時間としては大差がない(表1)。
  2. 再生紙マルチ栽培者は無化学肥料・減農薬米等を、直接消費者または農協を通しての販売を希望し、消費者は慣行の米価と比べ、1割高程度でも31%、2割高程度でも16%が継続購入を希望している(表2)。このため、慣行の米価と比べ1~2割高で販売できる可能性がある。
  3. 米の販売価格が慣行の2割高になると生産費の増加分が相殺される。このため、有機栽培米等購入希望者へ慣行の2割高で販売することにより、当栽培法の現地定着が期待できる(表4)。

[成果の活用面・留意点]

     移植時の低温条件による初期生育の遅延が収量に影響する中山間地、品種はコシヒカリ、作期は4月下旬~5月上旬移植を対象とする。

[その他]
研究課題名 : 生態系を活用した水稲の持続的生産技術の確立
予算区分   : 地域重要新技術
研究期間   : 平成9年度(平成7~9年)
研究担当者 : 松田悟、三谷誠次郎、大浜武志、伊藤邦夫
発表論文等 : なし
目次へ戻る