- [要約]
- 直播栽培のみの作付規模限界は、湛水直播においては水利慣行で、乾田直播では適品種が少ないことが主な理由になり減少する。現状の作業体系での規模拡大効果は、移植栽培との組み合わせで認められるが、乾田直播の方が高い効果が得られる
兵庫県立中央農業技術センター・経営実験室
[連絡先] 0790-47-1117
[部会名] 営農
[専 門] 経営
[対 象] 稲類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 兵庫県南部の気象条件からは、条播による湛水土壌中直播栽培および同乾田不耕起直播栽培の導入が可能である。しかし、両直播栽培の経営効果を比較した成果は少ない。そのため、線形計画法を利用した分析から、両直播栽培の効果と特徴を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 直播栽培を組み合わせたモデルの作付規模限界は、移植栽培のみ<湛水直播<乾田直播の順で拡大し、所得も同様に増加した。乾田直播の規模拡大・所得増大効果が大きいのは、10a当たり労働時間や直播と田植えの作業競合が少ないからである。この規模限界における60kg当たり全算入生産費は、湛水直播でほぼ同等、乾田直播でやや低くなった。
- 上記のモデルで、秋作業の能率を2倍にした場合は、直播と田植えの作業競合が少ない乾田直播において大きく増加し、秋作業を含めた作業体系の見直しが導入効果を高めるうえで必要である。しかし、移植栽培のみと湛水直播栽培の組み合わせにおいては、春作業の競合が制限要因となってほとんど増加しなかった。
- 直播栽培のみを作付けた場合は、湛水直播、乾田直播とも作付面積が減少した。現在の水利慣行を前提とした湛水直播では播種期間および収穫期間がともに短くなる。乾田直播栽培では、成熟期の幅が移植栽培より狭くなるなど、作期の異なる直播適応品種が少ないこと等が原因していた。
[成果の活用面・留意点]
直播栽培の導入効果を高めるには、湛水直播と乾田直播とで異なるが、作期が異なる直播適応性品種の確保、灌漑開始時期の前進、収穫・調製作業まで含めた作業体系の見直しなどの対策が必要である。
- 表1 [具体的データ]
[その他]
研究課題名 : 農業経営モデル実証試験
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成9年度(平成6~10年)
研究担当者 : 宮本誠、松本 功、岩井正志
発表論文等 :1)湛水土壌中直播栽培及び乾田不耕起直播栽培の労働時間と経費の分析、兵庫県農業技術センター研究報告(農業編)、第45号、1996.
2)水稲直播栽培の経営効果と限界、平成9年度日本農業経営学会研究大会報告要旨、1997.
3)水稲直播栽培の農法的検討、農業経営通信、No.195、1998.
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