山口県における集落構造分析について


[要約]
地域農業の分析単位は、従来市町村や旧町村であった。しかし、山口県のように多様な自然・社会条件が旧町村に内在する場合、農業集落データを用いた主成分分析とクラスター分析を併用する分析手法が地域農業の特徴を把握する上で効果的である。
山口県農業試験場・経営作物部・営農生活研究室
[連絡先]  0839-27-0211
[部会名]  営農
[専 門]   経済構造
[対 象]    
[分 類]   研究

[背景・ねらい]
 山口県は、高齢化や担い手不足問題に対応して集落営農を核とした地域農業のしくみづくりを進めている。その基本となる集落営農は、個々の集落の多様な性格に影響されると考えられるが、4,136集落もある農業集落の性格づけを行うことは困難であった。しかし、近年整備が図られている農業センサス等の統計データを活用することで集落構造分析から地域農業の特徴を把握することが可能となり、その分析手法を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 山口県内3,845集落の1995年農業センサスデータから17指標を抽出し、主成分分析を行った。その結果、農業生産維持度、農業依存度、都市近郊度の3つの総合指標を得た(表1)。
  2. 総合指標の集落別スコアを用いて、クラスター分析を行い、3,845集落を8類型に区分した。最も多い類型は、農業生産が維持されているものの農業依存度が低下している集落で全体の32%であり、農山村型を示している同様な類型を含めると46%と半数近くになる。また、農業生産が維持され農業依存度が確保されている集落は全体の12%であった(表2)。
  3. 8類型化された集落の地域的拡がりを確認するため、旧町村毎の類型集落の分布状況をもとにクラスター分析を行い、旧町村を6類型に区分した。これを図化した結果、島嶼部や県東部の中山間地が土地利用型農業生産の維持が困難な地域であることが明確となった(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 山口県全体の統計データを用いた場合の結果であり、対象範囲が変わると分析結果も変わる相対的な分析である点に注意する。
  2. 活用できる統計データが限られているため、農業集落の実態が正確に反映されているとは言えない。特に農業集落を規定していると考えられる地域社会の実態を把握する指標(小学校、役場までの距離等)がほとんど含まれていない点に注意する。

[その他]
研究課題名 : 地域営農システム化研究
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成9~平成11年度
研究担当者 : 齊藤昌彦、寺山豊
発表論文等 : なし
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