人工光源によるハウスモモの補光方法と果実糖度の向上効果


[要約]
ハウスモモに対する補光の効果は、曇雨天日の午前中に高い。補光は、光源としてナトリウムランプDLを用い、樹冠下側からおこなう。収穫前1カ月間の補光は、樹冠中~下部の果実糖度を高める。
広島県立農業技術センター果樹研究所・落葉果樹研究室
[連絡先]    0846-45-1225
[部会名]   果樹
[専 門]     栽培
[対 象]     果樹類
[分 類]     研究

[背景・ねらい]
 モモは成熟期の日照不足によって、果実の糖度が著しく低下する。とくに、ハウス栽培では、被覆資材やハウスの骨材によって太陽光が遮られて日照不足になりがちで、樹冠中~下部の果実糖度が不安定になる。このため、高品質な果実を安定して生産する技術の開発が強く望まれている。そこで、日照不足を改善するため、モモの光環境に対する特性と人工光源による補光の効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 早朝と夕方の補光は、曇雨天日での1日の葉の総光合成量を高めるが、晴天日では効果がない(図1)。また、補光の効果は、夕方より朝方で高い(図1)。
  2. 補光の光源は、消費電力当たりの光量子束密度が高いナトリウムランプDLが良い(図2)。
  3. 葉の光合成速度は、葉の表側と裏側からの光の照射では大差ない(図3)。このため、補光は、樹冠の下側から、樹冠中~下部の光環境の改善に有効である。
  4. ハウス栽培の成木モモ園(栽植間隔:3.5m×6.5m)における収穫前1カ月間の補光は、樹冠中~下部の果実糖度を高める(図4)。また、光源の数は、1樹当たり2灯(10a当たり88灯)で良い(表1)。

[成果の活用面・留意点]

     補光栽培に要するコストは、施設の耐用年数を10年とした場合、施設の償却費と電気代で、果実1kg当たり約200円である。光源装置を各作型で有効利用するなどの方法でコスト低減が可能である。

[その他]
研究課題名 : 気象変動に対応した高品質モモ果実生産管理技術の開発
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成8年度(平成4年~8年)
研究担当者 : 赤阪信二、今井俊治、小笠原静彦、藤原多見夫
発表論文等 : 農業電化、第33回支部研究発表(1995)、33-35.
目次へ戻る