灰色かび病菌の楊枝採取法による薬剤耐性の簡易検定法


[要約]
先端を湿らせた楊枝で、灰色かび病罹病組織に形成された分生胞子に軽く触れて胞子を付着させる。これを6種類の検定薬剤の入った灰色かび病菌選択培地(SBc)に突き刺すことで、菌糸伸長の有無により薬剤耐性菌の種類を判別できる。
大阪府立農林技術センター・環境部・病虫室 
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門]  作物病害
[対 象]  果菜類
[分 類]  普及

[背景・ねらい]
 薬剤耐性検定は、専門的な技術および器具と時間と労力をかけて行われているが、その結果が防除へ迅速に結びつかないのが現状である。そこで、ほ場に発生している罹病組織から、直接、試料を採取し、検定薬剤の入った選択培地へ接種して菌糸伸長の有無により判別する方法を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 3分割シャーレ2枚を用い、図1に示す検定薬剤の入った灰色かび病菌選択培地を用い、先端を湿らせた楊枝で罹病組織の胞子に触れて、6種類の検定培地へ接種する(佐藤ら原案)。接種は培地を裏返して、下から培地面に楊枝を軽く突き刺すように接種する(図1)。1サンプルにつき、6箇所の接種が必要となる。
  2. 耐性菌の判定は、接種後、20~25℃、暗黒条件で3~5日間培養し、菌糸伸長の有無で行い、表1に示す方法によって各表現型の耐性菌率を求める。耐性を示す場合は培地上に白色の菌糸、裏面にはマゼンタ色のコロニーが認められる。
  3. 本法は、検定培地の供給(試験場で作成)と楊枝を準備するだけである。ほ場において直接サンプリングすることも可能であり、従来法(寒天ディスク法)より精度はやや劣るものの、簡便性、迅速性において優れる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 普及員、営農指導員、農家が容易に検定でき、発生が少なくても罹病組織があれば可能であり、防除薬剤の選定、耐性菌の発生抑制に活用できる。
  2. この検定法では、ジエトフェンカルブ剤の弱耐性菌はすべて感受性菌として判定されることに注意が必要である。

[その他]
研究課題名 : 発生予察技術支援対策事業
予算区分   : 国補
研究期間   : 平成9年(平成5~8年)
研究担当者 : 岡田清嗣・草刈眞一
発表論文等 : ナス灰色かび病菌胞子トラップのための選択分離培地の開発、日植病報58:554、1992.
            灰色かび病菌の選択分離培地を用いた空中胞子密度測定法、植防疫、50:290-294、1996.
                     爪楊枝を用いた灰色かび病菌の薬剤感受性簡易検定法、関東病虫研報、44:97-101、1997.                                
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