- [要約]
- ナシ黒斑病のポリオキシン耐性菌に対し、Gisi et al.の方法で薬剤の連合作用による効果を評価した結果、イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン混合剤では相乗効果が、また有機銅・ポリオキシン混合剤では相加効果が認められ、高い防除効果を示す。
鳥取県園芸試験場・環境研究室
[連絡先] 0858-37-4211
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門] 作物病害
[対 象] 果樹類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 現在、鳥取県内におけるナシ黒斑病菌のポリオキシン耐性菌検出率は80%以上となっており、ほとんどの分離株で高度または中等度の薬剤耐性が認められている。このため、ポリオキシン耐性菌に対する防除対策として、ポリベリン水和剤などの混合剤を使用するか、有機銅剤、ジラム・チウラム剤との混用を行って防除の強化をはかっている。しかし、複数成分を含む薬剤の作用機作については不明な点が多いことから、これらの薬剤の連合作用について検討を行い、薬剤耐性菌に対する防除対策の資料とする。
[成果の内容・特徴]
- 1997年の鳥取県内におけるナシ黒斑病菌のポリオキシン耐性菌検出率は、高度耐性菌が44.8%、中等度耐性菌が43.1%であり、両者を併せると87.9%と高い耐性菌検出率であった(表1)。
- ポリオキシン耐性菌に対する複数成分を含む薬剤の連合作用について、Gisi et al.の方法により評価を行った。その結果、イミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン混合剤は連合係数(R値)>1.5となり、各成分が相乗的に作用することが明らかとなった。また、有機銅・ポリオキシン混合剤も同様に評価した結果、0≦R値≦1.5となり、これらの複数の成分は相加的に作用することが明らかとなった(表2,3)。
- Gisi et al.の方法によって選抜したイミノクタジン酢酸塩・ポリオキシン混合剤及び有機銅・ポリオキシン混合剤を約10日おきに二十世紀ナシ樹に散布し、最終散布終了後にポリオキシン耐性ナシ黒斑病菌を接種した結果、高い防除効果が得られ、ポリオキシン耐性菌に対して有効な防除対策であることが明らかとなった(表4)。
[成果の活用面・留意点]
鳥取県内のポリオキシン耐性菌の検出率は高く、耐性菌に対して安定した防除効果を得るため、防除薬剤として相乗または相加効果のある薬剤を使用する必要がある。
[その他]
研究課題名 : ナシ黒斑病の持続的総合防除技術の組み立て
予算区分 : 単県
研究期間 : 平成9年度(平成7~11年)
研究担当者 : 安田文俊、渡辺博幸
発表論文等 : 鳥取県におけるポリオキシン耐性ナシ黒斑病菌の発生状況と薬剤の連合作用による防除効果、病理学会関西部会(1997)
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