「コシヒカリ」におけるイネ紋枯病の要防除水準


[要約]
「コシヒカリ」におけるイネ紋枯病の要防除水準は、出穂前15~20日の1回防除の場合は、この時期の発病株率が約7%、穂ばらみ期防除に重点をおいた場合は、出穂前15~20日の発病株率が約25%、穂ばらみ期の発病株率が約18%である。
鳥取県農業試験場・環境研究室
[連絡先]   0857-53-0721
[部会名]  生産環境(病害虫)
[専 門]     作物病害
[対 象]   水稲
[分 類]     指導  

[背景・ねらい]
 イネ紋枯病は重要病害の一つであるが、発生のほ場間差が大きいことから、環境への負荷低減、防除の効率化を図るためには要防除水準の設定が必要である。本病の発病程度や被害程度は品種によって異なるが、現在設定されている要防除水準は、熟期ごとに設定されたものが多い。そこで、主要品種であり、紋枯病の被害を受けやすい「コシヒカリ」について要防除水準の設定を行う。

[成果の内容・特徴]

  1. 精玄米減収率と成熟期ほ場被害度との間には相関が認められ、回帰式から精玄米減収率5%を被害許容限度とした場合の成熟期ほ場被害度は20.5である(図1)。
  2. 穂ばらみ期に防除の重点をおいた場合、成熟期ほ場被害度と穂ばらみ期の発病株率との間には高い相関が認められ、回帰式から成熟期ほ場被害度が20.5となる穂ばらみ期の発病株率は18.8%である(図2)。しかし、穂ばらみ期の発病株率が47.5%以上では、この時期に防除を行っても成熟期ほ場被害度が20.5を越え、減収率は5%を越えることから、穂ばらみ期以前の防除が必要となる(図2)。
  3. 穂ばらみ期の発病株率と出穂前15~20日(7月下旬)の発病株率との間には高い相関が認められ、穂ばらみ期の発病株率が47.5%となる出穂前15~20日の発病株率は25.6%である(図3)。
  4. 出穂前15~20日に防除の重点をおいた場合、穂ばらみ期の発病株率が18.8%となる出穂前15~20日の発病株率は 7.1%である(図3)。なお、出穂前15~20日の1回防除の効果は高く、発病株率が高い場合でも成熟期ほ場被害度は20.5未満となる(図4)。
  5. 以上より、出穂前15~20日の1回防除の場合の要防除水準は、この時期の発病株率が約7%である。また、穂ばらみ期に防除の重点をおいた場合の要防除水準は、出穂前15~20日の発病株率が約25%、穂ばらみ期の発病株率が約18%である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 対象は5月中下旬移植水稲とする。

[その他]
研究課題名 : 防除要否判断基準確立事業(イネ紋枯病の要防除水準の策定)
予算区分   : 国庫
研究期間   : 平成9年度(平成7~9年)
研究担当者 : 長谷川優、岡山裕志
発表論文等 : なし

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