- [要約]
- クロルピクリンテ-プ剤による土壌消毒はホウレンソウ萎凋病に優れた防除効果を現し、高い収量が得られる。くん蒸ガスは同液剤に比べやや早く消失する。土壌微生物相への影響は液剤と同様に糸状菌、放線菌に強く現れ細菌には小さい。
京都府農業総合研究所・環境部
[連絡先] 0771-22-6494
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門] 作物病害
[対 象] 葉茎菜類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 雨よけハウスの普及でホウレンソウの周年栽培が各地で行われるようになり、これに伴ってフザリウム菌による萎凋病が多発している。本病にはこれまでクロルピクリンの液剤によるマルチ畦内消毒が有効な防除法として実施されてきたが、近年刺激臭が漏出しない省力的なテ-プ剤が開発された。我が国では臭化メチル剤の全廃が予定されており、土壌消毒の代替技術が求められている時でもあるので、本テ-プ剤の防除効果と収量、くん蒸ガスの拡散、土壌微生物相への影響等について調査する。
[成果の内容・特徴]
- クロルピクリンテ-プ剤の防除効果は、地表面に置く表面処理、深さ15cmの地中に埋め込む埋設処理いずれの方法も、同液剤の注入処理と比較してほぼ同等の高い 防除効果を示し、収量においても同程度であり無処理に比べ極めて高い(表1)。
- 消毒中(被覆期間)のくん蒸ガスの拡散は、表面処理の方が埋設処理よりも早めに 最高濃度に達し、その後の減少もやや早い。一方、液剤はテ-プ剤に比べてガスの減少速度がやや遅く、この傾向は大気中よりも地中への拡散において明瞭である(図1)。
- 土壌微生物相に対する影響は、糸状菌、放線菌で強く現れ細菌では小さい。薬剤間ではテ-プ剤の表面、埋設両処理間で大きな差はなく、また液剤との間においてもほぼ同程度で、これらは同様の菌数を示す(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- クロルピクリンテ-プ剤は未登録であるが、農薬登録の取得のための試験が進められている。
- 本剤の表面処理では、包装してあるフイルムが処理後地表面に部分的に残り、播種時に取り除く必要がある。
[その他]
予算課題名 : 効率的な土壌消毒技術の確立
予算区分 : 府 単
研究期間 : 平成9年度(平成7~9年)
研究担当者 : 福西務、柳瀬杉夫、小坂能尚
発表論文等 : クロルピクリン新剤型のマルチ畦内くん蒸消毒におけるガスの動向、微生物相の変動、防除効果および生育.日植病報、63巻3号、1997.
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