- [要約]
- 蚕の5齢幼虫、蚕の蛹体に大腸菌、青枯病菌及び軟腐病菌の各死菌を、また天蚕の蛹体に大腸菌の死菌を接種すると、その体液は培地上で大腸菌、軟腐病菌の生育を阻害し、抗菌物質が体液中に誘導される。
兵庫県立北部農業技術センター・農業部
[連絡先] 0796-74-1230
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門] 作物病害
[対 象] 葉茎菜類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 病害虫防除方法の方向は、化学農薬の使用量を減らし、あわせて有用微生物や生物が生産する抗菌物質を利用した、新しい病害虫防除法の開発が強く望まれている。
そこで鱗翅目昆虫である蚕及び天蚕蛹体に誘導される抗菌物質による植物病原菌の増殖抑制効果について検討した。
[成果の内容・特徴]
- 人工飼料育した蚕の5齢幼虫を用いて、大腸菌(E.coli)青枯病菌(Pseudomonas solanacearum)及び軟腐病菌(Erwinia carotovora)を 4%ホルマリンで 殺菌し、50mMリン酸緩衝液で洗浄した後、緩衝液で懸濁し、それぞれの死菌を蚕体に1頭当たり20μlを接種して体液の抗菌活性について各種菌の増殖阻止円を測定して検討した結果、大腸菌と軟腐病菌に対してその生育を阻害する(表1)。
- 蚕の蛹に大腸菌、青枯病菌、軟腐病菌の各死菌を、また天蚕の蛹に大腸菌の死菌を接種し、各々処理した蛹の24時間後の体液の抗菌活性を調査した結果、どの区も大腸菌と軟腐病菌に対する抗菌活性が認められる。しかし青枯病菌に対しては抗菌活性は認められない(表1)。
- 蚕の5齢幼虫、蚕の蛹、天蚕の蛹は細菌等の異物が体内に入るとその体液中に抗菌物質が誘導されることが示唆される。
[成果の活用面・留意点]
蚕等の昆虫が生産する抗菌物質は微量であるため、人工飼料育蚕に生菌を経口投与する等、効率的に大量生産させる方法が開発されると、植物の病害防除に役立つ可能性がある。
[その他]
研究課題名 : 蚕の抗菌タンパク質の生物的利用技術の開発
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成9年度(平成7~9年)
研究担当者 : 呉座有信、岩本 豊、安岡平夫
発表論文等 : なし
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