- [要約]
- キクのナミハダニ黄緑型は挿し芽などの人為的管理作業により、寄主を介して圃場を移動し、周年発生する。また、キクにおける寄生部位は生長に伴い上位葉へ移行する。摘心により分枝したいずれの枝上でも同じ発生消長がみられる。
奈良県農業試験場・環境保全担当虫害係
[連絡先] 0744-22-6201
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門] 作物虫害
[対 象] 昆虫類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- キクでのナミハダニ黄緑型(以下、ナミハダニ)による葉裏の吸汁痕は、商品価値を 著しく低下させることから、栽培現場では定期的な殺ダニ剤散布を行っている。しかし、高品質生産のための殺ダニ剤散布は回数や使用量が過剰傾向にあり、農家の健康への影響、周辺環境への負荷、およびハダニの感受性低下などが懸念されている。
そこで効果的かつ効率的な防除を行うことを目的に、秋ギクでのナミハダニの生活環、寄生部位などを解明する。
[成果の内容・特徴]
- ナミハダニの発生消長は8月~9月にピークを持つ単峰型で、発生量には品種間差がある。ナミハダニは、親株から挿し芽床を経て、定植により本圃へ持ち込まれる。その後、密度を高め、収穫後の残株に寄生・越冬する(図1)。
- キク本圃でのハダニの寄生部位は定植後、キクの生長に伴い上位葉へも移動し、収穫前には全体に広がる(図2)。摘心後のいずれの枝でも同様の発生消長である。
- 収穫後のキクで越冬したナミハダニは次年度の発生源となり、キク上での生活環を形成している。また、本圃で異常増殖した場合には、周辺の雑草へ分散し、越冬する。しかし、これらの次年度のキクへ再侵入は確認できていない(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- キクでの生活環により、防除を検討する場合には、キクが圃場から離れる挿し芽時が有効と考えられる。また、ハダニが低密度で葉数の少ない本圃の生育初期も効果的な薬剤散布時期と考えられる。
- 発生予察を行う場合の定植後の調査は、畝内のいずれの位置の枝でもよいが、上中位葉を対象とする。
- 本データは慣行防除圃場での発生消長である。散布された殺ダニ剤に対する感受性や作業者の散布技量により発生消長は異なる点に留意する必要がある。
[その他]
研究課題名 : 花卉類病害虫発生予察実験事業
予算区分 : 国庫
研究期間 : 平成9年度(平成3~9年)
研究担当者 : 国本佳範、西野精二、大辻純一、福井俊男
発表論文等 : ナミハダニ黄緑型のキク上での発生消長と寄生部位、日本ダニ学会誌、6巻1号、1997.
ナミハダニのキク圃場での分布について、日本ダニ学会誌、5巻1号(講要)、1996.
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