カキ園におけるミカンキイロアザミウマの発生と防除対策


[要約]
ミカンキイロアザミウマは園内外の雑草・樹木で世代を経過し、夏季のエノコログサ、メヒシバから移動した個体が着色期のカキ果実に被害を与えていると推定される。防除薬剤としてアセタミプリド水溶剤2000倍又はアクリナトリン水和剤1000倍が有効である。
和歌山県果樹園芸試験場・栽培部
[連絡先]  0737-52-4320
[部会名]  生産環境(病害虫)
[専 門]   作物害虫
[対 象]   果樹類
[分 類]   研究

[背景・ねらい]
 カキ「刀根早生」におけるミカンキイロアザミウマの被害が拡大傾向にある。本種は寄主範囲が広いのでカキ園内外の寄生状況及びカキ果実の寄生時期を明らかにし、併せて防除薬剤を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 露地の「刀根早生」園の黄色粘着トラップ調査では、5月中旬、7月中旬、9月上旬に発生のピークが認められ、園の外周部より中心部の捕獲数が全般的に多い(図1)。
  2. 本種は5~6月に園周辺のカンキツ類及びキウイフルーツの花、園内雑草の優占種であるオオイヌノフグリ、スズメノカタビラに多数寄生し、7~8月には園内雑草の優占種であるエノコログサ、メヒシバに多く寄生し、園周辺のフヨウ、ムクゲの花にも見られる。除草剤散布後(8月31日)は園内雑草での寄生はなく、園周辺のクズ、カラムシの花で見出されるが、個体数は少ない(表1)。
  3. 成虫のカキ果実への寄生は着色の始まった9月上旬からみられ、主に雑草で増殖した個体からの移行により加害されると推定される。無防除園の果実寄生のピークは9月下旬で10月には収穫終了で終息する(図2)。
  4. 9月中旬にはアセタアミプリド水溶剤2000倍及びアクリナトリン水和剤1000倍を散布すると、その後の果実寄生は認められず、薬害の発生もないことから、両剤は防除薬剤として実用性がある(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 現在、被害は「刀根早生」のみであるが、「平核無」、「富有」でも寄生が観察され、接種試験で被害も発生していることから、他品種の発生にも注意する。
  2. 供試した薬剤はカキの他害虫に農薬登録されているが、カキのミカンキイロアザミウマに対する登録薬剤はない。

[その他]
研究課題名 : 落葉果樹の新病害虫対策
予算区分   : 県単
研究期間   : 平成9年度(平成8~10年)
研究担当者 : 大橋弘和、家村浩海
研究論文等 : なし

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