カンキツに発生するワタアブラムシの生活環


[要約]
カンキツに発生するワタアブラムシはナズナ等の雑草で越冬し、春季にカンキツを寄主選好する。夏季にカンキツに寄生せず、エノキグサ等の雑草に寄生する。本種はカンキツと雑草上の間を主に寄主転換しながら、生活環を維持している。
広島県立農業技術センター・環境研究部・常緑果樹研究室
[連絡先] 0824-29-0521
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門]  作物虫害
[対 象]  果樹類
[分 類]  研究

[背景・ねらい]
 1990年代初め頃からカンキツに発生するワタアブラムシの合成ピレスロイド剤に対する抵抗性が問題化した。調査した結果、地域により薬剤抵抗性レベルは異なっていた。薬剤抵抗性の実態把握と防除薬剤を選定する上で、カンキツ園に野菜畑の個体群が飛来し、増殖するかどうかの有無を明らかにしておくことは重要である。そこで、カンキツ寄生個体群の寄主選好性と発生生態を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. ナス、キュウリとウンシュウミカンのそれぞれに寄生し、オオイヌノフグリ上で越冬した各個体群は、春季にいずれも寄生もとの植物を寄主選好し、他の植物上では増殖しない(図1)。
  2. 春季にカンキツ園のナズナ上から採集した個体群は、ウンシュウミカンと夏寄主植物のヤブガラシを寄主選好し、キュウリとナス上では増殖しない(図2)。
  3. 夏季、本種は夏寄主植物のエノキグサ等に寄生し、10月上旬から中旬にかけて越冬用寄主植物のナズナ等に移動する(表1)。
  4. したがって、カンキツ園に発生するワタアブラムシは、カンキツとその園内の雑草を主に寄主転換しながら生活環を維持している。

[成果の活用面・留意点]

    合成ピレスロイド剤の散布歴の違いにより、カンキツ産地ごと抵抗性レベルは異なる。 

[その他]
研究課題名 : 1.特殊病害虫防除対策事業
              2.果樹・野菜等の薬剤抵抗性アブラムシ類の発生予察技術の確立
予算区分   : 1.単県、2.国補(発生予察特殊調査)
研究期間   : 平成9年度(1.平成5年、2.平成6~9年)
研究担当者 : 細田昭男、松本 要
発表論文等 : なし
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