- [要約]
- 水田からのメタン発生量は強グライ土壌で多い。田植え後30日から間断かんがいに切り替える水管理法により、強グライ土壌水田で収量を低下させることなく、メタン発生量を大幅に削減できる。
島根県農業試験場・環境部・土壌環境科
[連絡先] 0853-22-6650
[部会名] 生産環境(土壌肥料)
[専 門] 環境制御
[対 象] 稲類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 温室効果ガスの1つであるメタンは、近年急速に濃度が上昇しており、発生抑制技術の確立が急務である。なかでも、水田からのメタン発生量は、総排出量の約10%を占め、温暖化への寄与率が高い。そこで、土壌統群別に水田の発生量を把握し、発生量の多い土壌でのメタン発生抑制技術を検討する。
[成果の内容・特徴]
- メタン発生量は、栽培期間中の降水量が多い年に多く、その変動は強グライ土壌で最も大きい。水田の土壌統群とメタン発生量との関係をみると、強グライ土で最も多く、ついでグライ土、灰色低地土の順に多い(表1)。
- 水管理法とメタン発生量との関係を、強グライ土壌で比較すると、発生量は対照区(中干し以外常時湛水)で最も多く、次いで慣行区(中干し以後間断かんがい)、改善(田植え後30日から間断かんがい)の順で、早期からの間断かんがいによってメタン発生量を大幅に削減できる(表2)。
- 早期から間断かんがいに切り替える改善区の収量は、対照区、慣行区と同等である(表3)。
- 対照区では7月に大きな、中干し以後に小さなメタン発生のピークがみられる。慣行区では中干し後のピークを、改善区では7月と中干し後の両ピークを抑えることにより、対照区に比べてメタン発生量が減少する(図1)。
- 以上のことから、強グライ土壌は、田植え後30日から間断かんがいに切り替える水管理法により、水稲収量を減らすことなくメタン発生量を大幅に削減できる。
[成果の活用面・留意点]
- 水田からのメタン発生抑制技術として活用できる。
- 間断かんがいにおけるかん水の目安は土壌表面に0.5~1cmの亀裂が入った時点とする。
[その他]
研究課題名 : 土壌生成温室効果ガス動態調査
強グライ土壌のメタン発生抑制試験
予算区分 : 国補
研究期間 : 9年度(平成4~9年)
研究担当者 : 魚木陽子、野田滋
発表論文等 : 強グライ土壌の水管理によるメタン発生抑制技術、日本土壌肥料学会講演要旨集、第44集、1998.
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