土壌処理農薬が土壌微生物バイオマスと微生物活性へ及ぼす影響評価


[要約]
殺菌剤類(フルスルアミド、フルアジナム、PCNB)を標準の10倍量施用すると、土壌の微生物バイオマスの指標となるATPが低下する。また、標準量の施用でも連用(5年10作)により、土壌の微生物バイオマスと微生物活性の指標となるAECの低下が認められる。
兵庫県立中央農業技術センター・農業試験場・環境部 
[連絡先]   0790-47-1117
[部会名]   生産環境(土壌肥料)
[専 門]    環境保全 
[対 象]    茎葉菜類
[分 類]    研究

[背景・ねらい]
 農薬の安全性を追求する社会的要求は、ますます強くなっている。農薬を使用する上では、農作物の安全性とともに環境への負荷を極力小さくすることが求められている。そのための第一段階として、畑地に土壌処理される農薬による微生物バイオマスへの影響を、生化学反応の普遍的なエネルギー伝達物質であるATP(アデノシン三リン酸)を指標に調査した。またADP、AMPも測定し、アデニレートエネルギーチャージ(以下AEC)をAEC=ATP+0.5ADP/ATP+ADP+AMPとして求め微生物バイオマスの生化学的活性を調査した。

[成果の内容・特徴]

  1. 細粒灰色低地土の転換畑におけるキャベツ栽培に使用される6種類の土壌処理農薬(殺菌剤3剤、殺虫剤2剤、除草剤1剤)が、微生物バイオマスに及ぼす影響を、室内試験でATP量を指標に調べると、殺菌剤類は標準量の10倍量の処理でフルスルアミド>フルアジナム>PCNBの順に土壌の微生物バイオマスを低下させる(図1)。
  2. 上記の薬剤の内、影響の少なかったダイアジノン(殺虫剤)、トリフルラリン(除草剤)及びPCNB(殺菌剤)を用いて農薬連用ほ場(キャベツ・年2作)を設け、5年間10作標準量を連用すると、収量性には影響が見られないものの、微生物バイオマスを示す、ATPやバイオマス窒素の低下がみられる。両者の低下傾向はやや異なり、微生物相へも影響していると推察される(図2)。
  3. PCNBの連用により、微生物全体の生化学的活性(AEC)は低下するが(図3)、土壌のPCNBの分解速度は無処理土壌よりも速くなる(図4)。一方、ダイアジノン、トリフルラリンの連用では影響は少ない。

[成果の活用面・留意点]

    今後農薬の施用法について環境面から考え直す知見となる。

[その他]
研究課題名 : 土壌処理農薬による土壌生態系への影響評価
予算区分   : 県単
研究期間   :(平成6~8年)
研究担当者 : 牧浩之、清水克彦
発表論文等 : なし
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