水田作土における土壌養分溶脱の簡易測定


[要約]
乾田直播、湛水直播栽培における無栽植条件下での土壌養分溶脱量は、イオン交換樹脂を下部に入れた円筒管を水田作土に直接埋設する手法で評価できる。
山口県農業試験場・土壌肥料研究室
[連絡先]    0839-27-0211
[部会名]   生産環境(土壌肥料)、総合研究
[専 門]    肥料
[対 象]    稲類
[分 類]    研究

[背景・ねらい]
 乾田直播栽培は、発芽・苗立ちは良好であるが、代かきを行わないため、透水過剰による土壌養分の溶脱が懸念される。また、水田の土壌養分溶脱を生産現場で測定することは困難で、従来より、ライシメーター等の測定データしかない。そこで、直播栽培適地の判定や、適切な土壌管理法を構築するために、生産現場で土壌養分溶脱を簡易に測定できる方法を開発する必要がある。

[成果の内容・特徴]

     土壌統群が異なる3圃場(表1)で、湛水直播・乾田直播栽培を行い、イオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂の混合物)を下部に装着したステンレス製円筒管を播種時に条間または株間に埋設した(図1)。水稲収穫時あるいは入水時に掘り出し、イオン交換樹脂に吸着された各イオンを 1N-HCl 5ml に溶出させ、水で洗浄して 100ml に定容後、各成分を定量し、溶脱量を推定した。なお、円筒管の埋設は6連制とした。
  1. 溶脱量は、室内実験では各成分とも変動係数5~12%とほとんど変動しなかったが(表2)、圃場試験では、乾田直播区の14~37%、湛水直播区の28~54%と湛水直播区でやや変動が大きくなる(表3)。
  2. 各イオンの溶脱量はカルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、鉄が多く、圃場減水深の差(表1)が大きい細粒灰色低地土では、乾田直播区が湛水直播区の1.2~1.5倍となる(表3)。
  3. 乾田直播区では土壌統群別の溶脱量は、概ね礫質灰色低地土>中粗粒強グライ土>細粒灰色低地土の順で多いが、鉄、マンガン、リン、ケイ素は中粗粒強グライ土が多くなる(表3)。
  4. 播種後1ヶ月間の乾田期間中の溶脱量は、カリウムを除くと各イオンともわずかで、溶脱はほとんどが入水後に起こる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

     この成果は水田では基本的に使えるが、土壌に礫が少なく円筒管が容易に入る圃場が望ましい。

[その他]
研究課題名  : 水稲直播を基幹とした野菜・麦類の輪作技術体系化実証試験
予算区分     : 国補
研究期間     : 平成9年度(平成6~10年)
研究担当者  : 久保喜昭、渡辺卓弘
発表論文等  : なし
目次へ戻る