水稲極早生系統「広系21号」の育成と奨励品種採用


[要約]
耐冷性、いもち病抵抗性、耐倒伏性が強く、低蛋白で良食味の極早生の水稲新品種「広系21号」を葯培養法を用いて育成した。平成10年度から広島県北部及び内陸の標高350~ 600m地帯における極早生~早生品種の栽培地域に普及を図る。
広島県立農業技術センター・高冷地研究部、生物工学研究所・育種研究室
[連絡先]  0826-82-2047
[部会名]  作物生産(育種・栽培)、生物工学
[専 門]   育種
[対 象]   稲類
[分 類]   普及

[背景・ねらい]
 広島県北部の水稲は気象変動の影響を受け易く、冷害といもち病により大きな被害を被ってきており、この地域には障害抵抗性の強い品種が必要である。また近年、良食味、安全指向の消費動向を受け、生産者からできるだけ農薬の使用を減らして栽培でき、市場評価の高い良食味品種が強く求められている。このため、耐冷性といもち病抵抗性が強く、良食味の品種の育成を進めてきた。

[成果の内容・特徴]

  1. 「広系21号」は「サチイズミ」を母、「ふ系141号」を父として昭和62年に交配し、F2 世代で葯培養して固定した極早生系統である。平成6年から奨励品種決定調査及び現地試験に供試し生産力、現地適応性を検討した。
  2. 稈長は「あきたこまち」より約3cm長い中稈で稈は強く、耐倒伏性は強である( 表1)。
  3. 穂数はやや少なく、偏穂重型である。1穂籾数が多くやや大粒で、収量性は高い。
  4. 葉いもち及び穂いもちの圃場抵抗性は「ひろひかり」より強く、極早生品種中では最も強いグループに属する。真性抵抗性推定遺伝子型はpi-a、pi-iである。
  5. 耐冷性は極めて強く、中期冷水かけ流し検定法による不稔歩合は10%未満で、「ひとめぼれ」並の極強である。
  6. 精白米中の蛋白含有率が低く、食味値は高い。炊飯米はやや軟らかく、粘りがあり味も良く、「あきたこまち」並みの食味である(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 県北部・内陸の標高350~600m地帯で「ひろひかり」「あきたこまち」「ひとめぼれ」の栽培地域に普及を図る。いもち病の常発地にも普及可能であるが、基幹防除は必要である。普及予定面積は2,000haである。
  2. いもち病抵抗性と低蛋白性及び外観品質を維持するため、多肥栽培は避ける。

[その他]
研究課題名 : 組織培養手法等による水稲新品種育成、主要農作物奨励品種決定調査
予算区分    : 県単、国庫補助
研究期間    : 平成9年度(昭和62年~平成9年)、(平成6~9年)
研究担当者 : 前田光裕、伊藤夫仁、中藪正之、中澤征三郎、前田博文、保科亨、
            土屋隆生、土居嘉明、上本哲、井本征史、平岡憲昭
発表論文等 : 第29、30回広島県立農業技術センター研究成果発表会要旨集、1997.1998.
            平成9年度奨励品種審査会資料
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