小麦品種「チクゴイズミ」の奨励品種採用


[要約]
「チクゴイズミ」は穂発芽性が難で、製めん適性は農林61号並に優れ、外観品質が良く、早生、多収であり、県内平坦部の小麦栽培地帯に普及できるので、奨励品種に採用する。
山口県農業試験場・経営作物部・普通作物研究室
[連絡先]  0839-27-0211
[部会名]  作物生産
[専 門]   育種
[対 象]   麦類
[分 類]   普及

[背景・ねらい]
 本県の小麦奨励品種「ダイチノミノリ」は穂発芽性が「中」であり、成熟期に降雨が多かった平成3年産と平成8年産は穂発芽が多発し、品質が著しく低下した。このため、穂発芽抵抗性、収量、品質、加工適性に優れた「チクゴイズミ」を奨励品種に採用する。

[成果の内容・特徴]

  1. 稈長は「農林61号」より8cm程度短く、「ダイチノミノリ」よりやや長い。このため、耐倒伏性は「農林61号」よりやや強く、「ダイチノミノリ」よりやや劣る。
  2. 穂長は「農林61号」より短く、「ダイチノミノリ」と同程度であり、穂数は「ダイチノミノリ」、「農林61号」と同程度である。
  3. 収量は「ダイチノミノリ」、「農林61号」よりも多く、多収である。
  4. 千粒重は「農林61号」よりやや大きく、「ダイチノミノリ」並で、大粒である。
  5. 外観品質は「農林61号」より優れ、「ダイチノミノリ」並である。
  6. 出穂期及び成熟期は「ダイチノミノリ」と同程度の早生である。
  7. 穂発芽性は「農林61号」と同程度の難で、「ダイチノミノリ」より明らかに優る。
  8. 赤かび病抵抗性は「ダイチノミノリ」、「農林61号」と同程度の中で、うどんこ病にはやや弱く、「ダイチノミノリ」、「農林61号」より劣る。枯熟れ様障害の発生は少ない。
  9. 製粉歩留は「農林61号」と同等で、ミリングスコアはやや高い。「ダイチノミノリ」、「農林61号」よりもアミログラムの最高粘度は大である。
  10. めんの粘弾性及びなめらかさは「農林61号」に比べて勝るが、色、外観、かたさがやや劣り、官能評価の合計値は「農林61号」と概ね同等である。

[成果の活用面・留意点]

     
  1. 「チクゴイズミ」は早生であるため、県下の瀬戸内平坦部温暖地帯での栽培に適する。
  2. 早播きは倒伏しやすいので、11月15~25日の間の適期に播種する。
  3. 播種量は10アール当たり6~7kg程度が適する。
表1表2表3表4 [具体的データ]

[その他]
研究課題名 : 麦類奨励品種決定調査
予算区分   : 国庫補助
研究期間    : 平成8年度(平成2年~平成8年)
研究担当者 : 藤岡正美、前岡庸介、中司祐典、角屋正治
発表論文等 : 山口県奨励品種審査会(平成9年5月)
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